日本の詩人たちはあくまで私的であるために破綻を明瞭にしてしまった・・・論潮の会「論調 6号」2014/1 の金 時鐘対談を読みながら 3
論潮の会「論調 6号」2014/1 の金 時鐘対談を読みながら 3
金さんは「他者と兼ね合う」言葉、詩という言い方をする。
これは日本人には少し理解しにくい。
少々、ご本人の思いとは違っても、「他者と関わりあう」「他者と共有する」と言い換えることにして、この対談の結論部分をまとめておこう。
50ページ
(金さんは今後詩はどうあるべきだと考えているか?という問い)
「過激な言い方だけど、東日本大震災で破綻したものの典型が詩になってしまった。
『現代詩手帖』の常連のようなスター詩人の言葉も私的な思念の世界の言語に過ぎない。彼らの言語では、他者との共有という可能性がない。
詩というのは万人が等しく持っているもので、他者との関わり合いのなかで生きている自分を見誤らない保障だ。
詩の条件というものがあるとしたら、他者と関わって生きている自分の自覚だ。
冒頭で言った抒情詩の決定的な弱点も、戦争で損なわれていく他者との関わり合いのなかったことによる。
多くの人の命とのつながりの中に自分がいることをもういっぺん自覚すること。そこからリアリズムが起き上がってくる。
いまこそそのリアリズムを正面に据える、そのために事実を知る、資料を集める、そのうえで自分の抽象的思念が、他者と共有できる言葉を獲得するということが詩作だ。
日本の詩人たちはあくまで私的であるために破綻を明瞭にしてしまったと僕は思っている」
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