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2015年3月21日 (土)

岡崎祐司他・福祉国家構想研究会「安倍医療改革と皆保険体制の解体」大月書店2015/3  第2章を読みながらその2

厚生労働省の地域医療構想策定ガイドラインには、①2025年の医療需要の推計と、②2025年の各医療機能の必要量の推計を求める方法が示されている。

医療需要は目に見えるものだから、現在の入院患者のレセプトのデータを用いて、ある1日の入院患者数とその性、年齢別、疾患別に内訳を割り出し、これを国立社会保障・人口問題研究所が示す2025年の性、年齢別の人口構成に補正すれば2025年の医療需要は、疾患別まで簡単に求められる(人口10万人当たりで表現すれば分かりやすくなる)。

...

  だが需要と必要は違う。必要は目に見えない。

日本の患者は不必要に医療機関を利用しすぎているという目で事前確率を設定してしまえば、需要の何割かの必要が導き出されてしまう。

逆に、僕達の知る現実は、貧困や、医師不足・公共交通不足のためのアクセス不良で、必要は需要を上回る。これを僕達は、「病人が患者になれない」と表現してきた。

だとすれば、二重に過小評価された医療の必要量が示される可能性が高い。

さらに、自然災害時の対応を見込んだ余裕を必要性と考えれば、三重の過小評価だろう。

この過小評価は結局、医療支出削減のためでしかない。

この事態を前に、岡崎さんは宇沢弘文を引用する。110ページ
「医療を経済に合わせるのでなく、経済を医療にあわせるべきというのが、社会的共通資本としての医療の考え方の基本認識である」

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