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2015年3月22日 (日)

デヴィッド・ハーヴェイ 「ニュー・インペリアリズム」青木書店2005年 第4章を読みながら

資本から私たちが搾取される方法は二つある。

一つは普通の雇用の中での搾取である。資本の拡大再生産の中での搾取と
いうのがより正確であるが。

もう一つは、略奪と呼ばれる暴力的な搾取である。
(マルクスはそれを本源的蓄積と呼んだが、一回きりの出来事ではなく、永続している)
それが今顕著なのは
無権利な非正規労働、女性労働からの略奪
TPPによる農民、中小零細企業からの略奪
原発建設などによる地方からの略奪
国民皆保険制度を破壊されることによる日常生活からの略奪
再び銃剣とブルドーザーによる辺野古の土地と自然の略奪
などである。

それぞれを単一課題Single Issue とした闘争がある。

1945年から1973年までは普通の雇用の中の搾取と闘う労働組合や政党の、生産関係に主眼を置いたsingle issue闘争が主力であって、その到達点が北欧の福祉国家であるし、日本では老人医療費無料化である。
しかし1973年以降は、搾取形態の軸足が明らかに略奪に傾く。

それに応じて、旧来の労働組合や政党に指導される運動は衰退し、一方では多様な反略奪運動が起こる。残念なことは両者がたいていは反目しあったことである。例えば旧共産党と反原発運動のようにである。

では今どうするか。

ここで最悪なのはネグリとハートのように粗雑にも、もはや労働組合・政党の運動の価値を認めず、反略奪運動を全て均一にマルティチュードの運動として天までもちあげることである。

そうではなく、二つの反搾取運動を結びつける工夫こそが求められているのである。

その結節点はやはりグローバル金融資本と新自由主義という共通の敵を認識することにある。

新自由主義論が重要なのは、闘争の共同という意味においてもあるのだ。

これは政治的に相当難しいことだが、改めて驚くのは、民医連がまさに現代の日本でそのような二つの反目する運動を結びつける役割を果たしていて、同時に党路線を捨てた日本共産党もそれに次ぐような認識を示していることである。

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