« 柄谷行人とデヴィッド・ハーヴェイ | トップページ | 今日の会議で改めて思ったこと:健康権と自己責任 »

2015年1月31日 (土)

2015年1月 医療生協理事会挨拶

1月も最終日となり、医療生協の理事会です。30日夜の保険医協会の宇部支部新年会での深い酔いがさめた深夜に、挨拶原稿を書きました。

:1月も終わりとなりましたが、一応新年のご挨拶を申し上げます。
今年もよろしくお願い致します。

1月はインフルエンザとノロウイルスの流行で疲弊し尽くした感があります。私もインフルエンザに罹って休んだ後輩の代わりに急遽当直に入ったら、午後6時から午前4時までインフルエンザ他の患者さんが全く切れることなく訪れ、そのなかには入院や他の病院へ紹介が必要な人もいるという事態で疲労困憊するという目にあいました。それが1週間経っても回復しませんから、もう若くないということも実感させられました。

今年はインフルエンザワクチンがほとんど効果なく、入院患者、職員と次々感染していきました。ひとつの病棟の入院制限をしたまま1月が終わろうとしています。これについては私たちの危機管理の弱さと、その重要性を切実に感じた次第です。反省して今後に生かして生きたいと思います。

さて、1月14日に2015年度の介護保険報酬改定予算案が発表されましたが、見かけ上はマイナス2.27%ですが、介護職員の給料アップの加算を含んでいますので、それを除けば本体は実に4.48%の下げ幅です。
これで介護事業の経営は一段と厳しくなり、介護保険サービス事業者の選別、淘汰を経て大規模な統合に進むことが予想されます。

あわせて要介護認定で要支援とされた軽度者から介護保険予防給付を取り上げる、特別養護老人ホーム入所は要介護3以上の重度者に限るという改悪も行われますから、政府鳴り物入りの「地域包括ケアシステム」が介護保険の縮小、市町村と住民ボランティアへの生活支援のまる投げ、そして最後にはサービス事業者の民間資本での統合と介護全体の市場化を目指したものであることがいよいよはっきりしたと思います。

私たちとしてはもちろんこれを許すことなく、介護事業の経営安定、介護職員の待遇改善、高齢者の人権を守るきめ細やかな介護サービスの実現を目指してたたかわなくてはなりません。

同時に、相手側の土俵に乗ったたたかいだけでなく、私たち独自のまちづくり、「いのちとくらし」づくりを創造していく努力も強く求められています。
東京一極集中が進む中で、この課題も都市部と地方の違いは相当に大きくなっています。
今後爆発的に高齢者が増える都市部での高齢者に優しい地域づくり運動が極めて重要ですが、地方は地方で深刻な人口減少との格闘が続いています。
これについて昨日の朝日新聞のオピニオン欄が示唆に富んでいるように思えたので、資料として添付しました。

「降りていく生き方」という映画を作ったこの弁護士さんは、おやじバンドが商店街を活性化するなどという、うそっぽい話ではなく、自然とのかかわり、技術の発展、暮らし方・考え方・感性、お互いの人間関係などを総合的にゆっくり、確実に変化させていくことを通じて、「地方に豊かさを」生み出すということを展望しているように思えます。

地方のまちづくりは、安易な施設作りや企業誘致、役に立たない地方ブランドの考案というような表面的なものでなく、もっと深いところで人間の生き方を変えることと同じなのだ、という気がします。それは多くの人が2011年3月11日以降、「原発でまちおこし」ということもあるのではないかという姿勢を、「原発のない安全な暮らし」でなくてはならないと変えたことの中にも暗示されていることです。

自然とのかかわり、生産や技術のあり方、人間関係、ものの考え方を変えて地方を豊かにするという運動の材料の多くは、協同組合のなかにあるということが私が感じていることです。

先日、全日本民医連は、「ヘルス・プロモーティング・ホスピタル=健康づくり病院」をどう作るかという勉強会を開きましたが、受診した患者さんすべてに、当面の病気の治療だけでなく禁煙や禁酒、運動習慣、肥満対策を働きかけようという課題に加えて、患者さんを超えて地域をまるごと健康にするにはどうすればいいかというもっと大きな目標についても話し合いました。

これは結局病院が医療生協組合員と力を合わせて、くらしのありようを深いところから変えていくということになるわけですが、それは地方の新しい豊かさを創造する運動の発信源のひとつとして病院という建物や機能を生かしていくことと重なります。

「安心して暮らし続けられるまちづくり」というスローガンは、政府に対して私たちが要求運動をしていけばそうなるというものでなく、私たち自身が生き方、自然や社会に対する関わり方を変える、新しい姿を創造しなくては生まれない、そうわかったときに、生協、医療生協と言うものは強力な資源になるということを、今年は改めて考えて行きたいということを申し上げて、今月の私のご挨拶としたいと思います。

今月からは来年度の方針作りに関わる重要な議案が待っていますので、熱心なご討議をよろしくお願いします。

|

« 柄谷行人とデヴィッド・ハーヴェイ | トップページ | 今日の会議で改めて思ったこと:健康権と自己責任 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 2015年1月 医療生協理事会挨拶:

« 柄谷行人とデヴィッド・ハーヴェイ | トップページ | 今日の会議で改めて思ったこと:健康権と自己責任 »