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2014年12月16日 (火)

藤井博之ら「保健医療福祉 くせものキーワード事典」医学書院2008 から、SDH としての交通を考える

学生時代は金がなく、医師になってからは時間がなかったので、自動車の運転免許は取らずじまいで来た。

おかげで交通事故の加害者になる心配や車に関わる物欲そのほかの煩悩から離れていることができたが、面で生きず、線で生きているという批判もいただいている。

過疎地域で自動車の運転をしない場合、どうしても交通弱者、生活弱者になる。

そうしたことを背景に僕は、健康の社会的決定要因SDHとしての交通には格別関心を持ってきた。

自家用車を持たない高齢者、障害者、貧困な人々は、そのために社会参加と自律の可能性を奪われて、健康にも、問題を起こしてくるというのが主眼である。

しかし、もっと直接的に、買い物に行けない、医療機関にかかれないというのも健康に影響する。

藤井博之ら「保健医療福祉 くせものキーワード事典」医学書院2008も「通所サービスと送迎」の項目でこれに詳しく触れている。

介護タクシー、車椅子で乗れる福祉タクシー、外出支援、移動支援という制度やそれぞれの違いの詳しい説明が付されている。

外出支援のうちタクシーなどによらない歩行や公共交通の利用の支援は、障害者自立支援法で利用者の障害度区分判定別に上限が設定されている自立支援給付に含まれる(重度肢体不自由では重度訪問介護の中に、自己判断力に制限ある人では行動援護の中に)。医療機関受診、買い物の支援はは介護保険と同様に認められるが、散歩は認められない場合が多そうである。

一方、移動支援は障害度区分判定とは別に、都道府県が自主的に行う地域生活支援事業のなかでおこなわれており、個別支援、グループ支援、車両移送の3種類がある。

ところで、タクシーの乗降支援を介護保険請求できる介護タクシーは医療法人でも営業可能となっているが、何処かに実行しているところがあるのだろうか。

それにしても、このような瑣末な説明が必要なくらい、SDHとしての交通対策は遅れており、最近日本経済新聞で読んだ三重県玉城町の無料オンデマンドバスくらいしか目立った改善はないと言っていいのだろう。

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