雑誌「病院」2015年1月号で、松田晋哉先生(産業医大)が地域包括ケア病棟に期待していることとして注目すべきことが4点
雑誌「病院」2015年1月号で、松田晋哉先生(産業医大)が地域包括ケア病棟に期待することの中に注目すべきことが4点ある。
実現可能な順に述べると、まず①入院中の「治療的健康教育」である。2ページと57ページ。
ほとんどHPHの「患者の健康づくり」機能に一致する考え方であるが、生活習慣に偏っているHPHと違って、認知症を重視しているのが興味深い。尾道市が使っているDBCシートなど用いて職員と家族で認知症の早期発見や服薬管理の問題点を是正していくのである。そのための病棟職員の認知症研修などを義務付けるわけである。
これが実現するためには診療報酬に反映されることが必要である。
次に②レスパイト入院の制度化。
これは家族介護が基本とされる限りは極めて重要な方針である。社会的入院として退けるのでなく、積極的に拾い上げ、診療報酬で裏付けるべきだ。
僕の患者さんでも、介護者である人が入院して大腸内視鏡を受けたいが、介護の重荷から解放されて入院できないため、実施が延び延びになっている。これがレスパイト入院が制度化されれば、被介護者の全身チェックもかねて同時入院が堂々と出来るだろう。
③準急性(sub-acute)の受け入れの診療報酬上の評価
これは当たり前だが、要求しなければ実現しないだろう。
これはすぐには実現しないだろうと思えるものが④在宅入院制度である。3ページ、58ページ
病棟として直接責任を持つ在宅患者を常に一定確保し、それを在宅入院として入院医療のうちに加える。これは医療依存度の高い人の在宅医療をしっかり保障することであるし、病棟と地域の関係を強くする上でもこれ以上のものはないと思える制度である。
ただ、今すぐ日本でこれを提案しても合意はえられない可能性が高い。
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