岩田健太郎「感染症パニックを防げ! リスク・コミュニケーション入門」光文社新書 2014/11
岩田健太郎「感染症パニックを防げ! リスク・コミュニケーション入門」光文社新書 2014/11
http://georgebest1969.typepad.jp/…/%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97…
若手医師の旗手でもあり、神戸大学病院の感染症管理の責任者として対社会的発言の機会が多い同氏の、いつものような本人の心覚えか学習ノートというべき新書。
自分の学習の跡をこうして世の中に問えるというのも幸せなことではあるが、別に彼ばかりでなく、医師は研修医から院長まで誰でもそれぞれの責任の範囲で常にリスク・コミュニケーター(危険事態の解説者)とならなければいけないのだから学ぶところは多い。
とくにパワーポイントを使ったプレゼンテーションはなるべく使わず、使うときも、「想定される質問⇒その回答」という形で簡潔にまとめるということが大事(213ページ)という点は印象に残る。
自分の物語をまるで一冊の本を読ませるかのように展開して、結局は聴衆にに多大な苦痛しか与えられない僕としては、那覇でそれをやってしまった一昨日のことがあるからなおさら痛切である。
せめて、もう1週間前にここを読んでいたらよかった。
257ページからの第2章「感染症におけるリスク・コミュニケーション 実践編」
は エボラ熱、西ナイル熱、炭疽菌バイオテロ、SARS、2009年H1N1インフルエンザ・パンデミック、デング熱に著者ならどういう解説を加えたかという実例が具体的に書かれていて、本文以上に勉強になる。
特にSARS流行中の北京にいて、完全防御で毎日発熱の患者を見ながら、いつ自分に感染するかと恐怖の毎日だったという述懐は率直で共感できる。
それにしてもSARSの原因だったコロナウイルスは今どこに行っているのだろう。
*実名は挙げず、浜六郎さんの批判もさらっと書かれている。
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