今日の勉強:脳梗塞予防にはアスピリンよりシロスタゾール
日本内科学会雑誌2014年9月号2252ページの「脳梗塞再発予防ー日本人にとって最適な抗血栓療法とは」を読んで深刻に驚いた。深刻に、というのはこれがもう常識なら、あまりに自分が不勉強だ、ということになるからである。
その公平さでもっとも権威のあるコクラン研究では、2011年にアスピリン(バイアスピリン 1錠/日)とシロスタゾール(プレタール100 2錠/日)を比較し、心臓、脳ともの血管イベント防止においてシロスタゾールのほうが優れているとしている。
かつ、ヨーロッパ人に比べアジア人に数倍多いアスピリンによる頭蓋内出血合併が、シロスタゾールでは数分の1になるのである。
となると、脳梗塞予防の主役はアスピリンからプレタールに交代させるべきであるのは明らかなようだ。
時代に数年遅れるとすごく焦る。それほど多くの患者を扱わない自分の実際の臨床では、どれほどの損害もまだ患者に与えていないだろうということが救いである。
なお、クロピドグレル(商品名プラビックス)はアスピリンとどれほども差がない。
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