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2014年10月24日 (金)

2014.10.25の医療生協理事会挨拶  

おそらく、政治的にはアマチュアにすぎない医者の語る情勢論など聞きたくもないという至極もっともな理由からだと思いますが、いろいろとご指導をいただきましたので、理事会で情勢に触れた挨拶をするのはもう止めようと、いったんは思ったのですが、オブザーバーで出席を依頼している県連事務局長もこの場をずっと欠席しているようでもあり、私が挨拶をやめると全日本民医連の動向がほとんど伝わらない医療生協理事会になるという危惧を持ちましたので、しばらく続けさせていただくことにしました。

お許し願いたいと思います。

今の情勢の焦点は2点あると思います。

一つはなんと言っても、10月30日告示、11月16日投票の沖縄県知事選です。

雑誌「世界」11月号で内橋克人さんも書いている(資料1)ように、辺野古は普天間の代替基地などではなく、アメリカの新アジア戦略の中心にもなる陸海空の大基地の新設にほかなりません。

それを許すかどうかですから、自民党本部が日本医師政治連盟に要請し、日本医師政治連盟から仲井真現知事の支持拡大の要請が各県の医師政治連盟に送られています。自民党側も小さな県の県知事選挙としては異例の総力戦で全国支援を開始しました。現時点で医療関係職能団体では医師政治連盟のみのようですが、沖縄県では仲井真の後援会長に沖縄県医師会長がなっており、医療関係者への働きかけも強力です。

全日本民医連も沖縄民医連に対し最大限の支援体制を取り、私も10月31日から11月2日まで沖縄に行き、11月1日の医療関係者大宣伝に合流します。

山口県連としては11月3日に宇部で、沖縄民医連事務局長を迎えて沖縄連帯集会を開きます。連休中の集会でどこまで成功するかわかりませんが、沖縄に行けるものだけが声を出しているだけではアメリカの基地植民地からいつまでも抜け出せないと考えて企画しました。 岩国のある山口でやらないわけには行かないと思っています。この集会には医療生協理事の皆様も出来ればご協力願いたいと思っているしだいです。

さて、情勢のもうひとつの焦点は、医療介護の大改悪を阻止して、無差別平等の地域包括ケアを住民の手で確立していく課題です。

今日は、そのなかでも介護保険法の変化の最先端部分を時間の許す限りご紹介しておきたいと思います。

地域包括ケアとは何か、ということに関しては雑誌「民医連医療」11月号に書いた私の小文を参考にしていただけるといいかと思います(資料2)。

ご存知のように今年の6月に「医療介護確保総合推進法」が成立しましたが、これは実に19本の法改正を合体させたしろもので、介護保険改正もその中に含まれています。

2015年1月から施行となっていますが2025年の政府側地域包括ケアの完成をにらんだ長期的計画の第一歩というべきものです。

さて、介護保険改正のなかでは、大きな二つの切捨てが行われています。

ひとつは、要支援1、2とされる人の85%の人が利用する訪問介護(ホームヘルパー)と通所介護(ディサービス)を介護保険の給付から切り離し、市町村が実施する低コストの「総合事業」に移し替え、住民ボランティアやコンビニが提供する形に流し込もうとするものです。

もうひとつは特別養護老人ホームから要介護1,2以下の人を排除し、同時に負担増も図って貧困者も排除しようとするものです。特養に入ることが最も良いと誰もが思う人が、機械的な線引きと経済力で、入所申し込みさえできなという事態に追い込まれるという非合理なものです。

今日は、その中でも、「総合事業」が現場での焦点になっていると思いますので、そこだけご説明します。

介護保険法改正で、介護サービスがどう変わるかという大きな見取り図を資料3に示しました。

介護保険を受けたいと思う人が市町村の窓口を訪ねますと、専門職でもない人がチェックリストを使ってその人の状態を尋ね、振るい分けをします。

これまでは希望者はすべて要介護認定を受けられたのですが、水際でそれさえ受けられない人が出てきます。それに対する異議申し立てをどうするかは考えていないようであります。 素人の実施するチェックリストでの即決と、これまでどおりの要介護認定を通る二つの道筋で、介護保険のサービスは受けられないで、「総合事業」に回される人が決まります。 この表では、介護保険の「予防給付」が受けられる場合もあるように書いてありますが、これはごまかしです。

さて「総合事業」に回された後です。資料4を見ていただくと訪問型と通所型のサービスがABCD4段階に分けて書いてあります。 A段階はまるで予防給付と同等のように書いてありますが、これもごまかしです。

本当は、簡単な講習を受けた住民主体による支援「B」に流し込もうとするものです。 それがどういう質のものであるかは資料5の 「通所サービス型C」のところを見ていただくと、ほとんど何の質的保証もないものということがわかっていただけると思います。

もちろん、これでは地域住民から不満が続出しますので、それを補う「多様な主体による生活支援サービスの重層的な提供」も「総合事業」に加えられています。これが総合事業のもう一つの主役です。

これを見ますと、私たち医療生協がしたいことがいろいろと掲げられており、これに政府が手を貸してくれるように思われるかもしれませんが、ここの主役は民間企業、とりわけコンビニです。

ローソンが「まちの『ほっと』ステーション」から「まちの『健康』ステーション」にロゴを変えているのはご存知でしょうか。

結局、介護保険から放り出された人に対する「総合事業」は住民ボランティア対応部分と大手流通資本の利潤の場の二つに分かれ、政府がどちらに肩入れするかは明らかです。

金のない人は孤独死を自然死と覚悟しろ、という政府側地域包括ケアの大原則がここで社会全体を蔽ってしまうのが目に見えるようではありませんか。

しかし、こういう事態は、私たち の活動が切実に住民から求められていく事態でもあります。

目の前の困窮者に必死に手をさしのべる事業を展開しながら、こんな介護保険の改悪を断固許さない活動家を大量に養成する必要があります。

組織部員は組合員のお世話役のレベルを超えて、介護問題、生活保護問題の専門家に大きく成長してほしいと思います。

これらのことこそが今の民医連・医療生協に求められていることだと強調させていただいて、私の拙い挨拶を終わらせていただきます。

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