雑誌「世界」11月号 内橋克人克人 :アベノミクス化する社会
土曜日の診療所。患者さんが少し途切れたので、昨夜届いた雑誌「世界」11月号の中で、まず内橋克人さんの「『アベノミクス化する社会」41頁をざっと読んだ。
以下、私見を交えた恣意的な要約:
まず、辺野古沖の海上封鎖を破ろうとする市民に適用しようとしている「刑特法」について説明している。
そっけない名称でよく知らないでもなんとなくわかった気になる法律だが、実は日米安保下での米軍基地に侵入しようとする者を重く罰する特別の法律なのだ。
僕としては迂闊にも初めて知った。
それがほとんど恣意的に適用されようとしている。海上保安庁職員の暴力行為もエスカレートしており、公務員による暴行陵虐としての告発も行われている。
安倍内閣の暴力的な強権性がここでむき出しにされているのである。
加えてウイキリークスは辺野古の基地拡大は、普天間飛行場の移転でなく、新たな軍港建設であることの方が本当の狙いだと暴露した。すでに日米の政府がその方向で合意している。
それは岩国基地の沖合拡大が滑走路を市街地から離すことよりも原子力空母が接岸できると言われた巨大埠頭の建設に目的があったことと軌を一にする。
辺野古に誕生するのは日米複合軍の超高機能陸海空基地なのである。それはまさに2012/4のアメリカ・アジア・ピヴォット・ストラテジーに沿ったものである。
これを受け入れれば名護市に500億円を差し上げるというのが、先の名護市長選挙に来た石破の約束だった。もちろんそれはご破算になっている。今では、その500億円は沖縄北部全体の振興事業としてとっくに決まっていた予算を勝手に名護だけに振り向けようとしたペテンであったことが明らかになっている。
今の日本の状況は、安倍内閣による、マインド、メディア、マネーの3Mコントロールである。
丸山眞男が日本の「古層」と呼び、久野収が「頂点同調主義」と名付け、僕が付け加えるとしたら、加藤周一が生涯憎んだ日本人の集団協調傾向conformismが、安倍内閣の国民マインドとメディアのコントロールに利用されている。その最も良い例がNHKの完全屈服である。
安倍内閣によるマネーのコントロールで注目すべきは、最近、発表されたGPIF年金管理運用独立行政法人の30兆円の運用資金の政治的利用である。塩崎恭久を厚生労働大臣にしてその準備は整った。PLOすなわち政治目的による株価値上げに年金積立金が使われ、安倍内閣の落ちかかった支持率回復に使われようとしている。無理な運用のリスクを管理するものがどこにもいない状況となる。
そういう安倍を指示しているのは、経団連の政策評価による巨大政治献金である。表にでたものだけで、自民29億円、民主0.8億円。イギリスでは個別企業の株主総会が承認しなければならないもの、ドイツ、フランスではそもそも禁止されている企業献金が、経団連の一握りのトップの裁量に任され彼らの思うような政治が進行しているのが今の日本だ。
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