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2014年9月22日 (月)

「ドラマで学ぶ医療倫理」の製作者に会う

昨日は群馬大学医学部で臨床倫理 を専攻している服部健司教授を全日本民医連医療倫理委員会に招いて、臨床倫理のドラマ教材の作り方についての苦労話を聞いた。

服部先生は旭川医大での日々をまるで自動車運転教習所のようだという思いで卒業し、思考の顎の力を鍛えるために早稲田大学文学部哲学科に入学し直し、大学院まで卒業した変わり種である。群馬大学で医学生に小説の読み方などを教えながら、早稲田大学では文学部生にハイデガーを教えている。

文学部哲学科の授業は医学部とは逆に、体系性もなく、突然原書の一部の精密な講読を始めるというものだったとのことだが、医療の現場もそういうものではないか。

僕自身は医療倫理委員会運営の責任の一端を担うようになって途方に暮れながら、勁草書房の「医療倫理」という小さな本に出会い、そのなかで、服部先生製作の「ドラマで学ぶ医療倫理」の存在を知った。

10万円以上もして、あまりに高価であったので全日本民医連に購入してもらったのだが、見てみると、「あぁこれでなくては医療倫理問題がどこにあるかという気づきを職員にもたらすことはできないぞ」と思わせるほどの質の高い教材だった。それは、その後の各病院への貸し出しでも同じ感想だったろう。

服部先生は、若くして突然死んでしまった佐賀の白浜雅司先生が紹介して日本でも有名になった4分割法を考案したジョンセンの本に示されているような抽象度の高いケース提示を批判した。

「これは患者のオートノミー(自己決定)を問う問題に分類されますね」としたり顔でいう秀才医師・医学生の底の浅い解説とあらかじめ想定された結論に皆を誘導するものでしかないということである。

そうではなく、自然に映像が浮かんで来るほどのケース提示で、かつ語り手の無意識な解説が抑制されてなければ、本当の議論などできないのだ。

機械的な結論を出す訓練をしたいならジョンセンの本をせっせと勉強すれば良いがそれは患者や私たちの幸福には関係ない、医療機関の効率を高める便利にのみ有効だということだろう。
そういう意味で服部先生作成のDVDは、登場人物のセリフや演技だけでなく、髪型、服装、靴まで観察してもらえれば議論を豊かにできるよう工夫しているとのことである。

これ以上の教材は無いので、隅々まで「しゃぶりつくしてほしい」との要望だった。

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