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2014年9月15日 (月)

雑誌「世界」10月号・・・「地方消滅」への反論

そろそろ試験頭から普通頭に切り替えないといけない。
サーモン寿司が好きだった若い女性が日本海裂頭条虫を排泄して驚いた話や、脳動脈瘤合併が特徴的な多発性嚢胞腎の進行阻止にバソプレシンv2受容体阻害剤サムスカ(僕にとっては肝硬変の難治性腹水の薬だが・・・)が効果があるなどという話は忘れよう。

今日は、広島市安佐北区に隣接する北広島町で一人暮らし老人になっている父親の家に行って、8月の水害の時の話を聞いた。

一晩中続く雷と豪雨で身の危険を感じた父は、広域合併して出来た北広島町の、前の豊平町役場でいまは支所となっている出先に電話して自主避難場所を尋ねたところ、夜間担当者が避難場所は知っているが鍵の在り処が分からないと答えたとのことだった。
役場から支所になって大規模な人事移動があり、地域に全く縁の無い人だった。決められた避難場所が使えないとなるとどこがいいだろうか、と粘って尋ねた父に、近くの大規模体育館の名前を担当者は挙げた。ではそこには当直がいて開けてくれるのかと言うと、それは知らないと答えたとのこと。
結局、父は自主避難を諦めた。結果論からいうと、道路が川のようになっていたから避難は無理だったのだが。

それから、一人暮らしで救急車をうまく頼めない時、ボタンを押すと救急隊に直結する「安心電話」を役場に依頼すると、ふだんから鍵を預けておく協力者がいることが条件だという。
学校退職後に任地に出来た新分譲団地にそのまま住み着いた父には、母の急死後は付近に親戚もなく、鍵を預かるという責任を負わせることのできるほどの近所づきあいもない。
これではあまりに粗い住民サービスとしか言いようがない。

やはり、大規模合併の広域自治体は一人暮らし老人の孤独死に真剣に向かい合う気は無い。

雑誌「世界」10月号で京大の岡田知弘先生は、大規模自治体からの分離分割を求める運動の意義を説いている。
これを非現実的と切り捨てる議論と僕たちは闘わなくてはいけないのだろう。

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