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2014年8月10日 (日)

第三次世界大戦の具体的脅威 デヴィッド ・ハーヴェイ「新自由主義」作品社2007第3章を読みながら 新自由主義と新保守主義の関係

新自由主義は、支配階級上層のグローバル権力獲得のための運動(支配階級による連続革命)である。その攻撃の標的となっているのは従来の国民国家による人権擁護的な諸規制である。

新保守主義は、その革命のためのイデオロギーの一部である。

貧困者のマナーの欠如・犯罪・不道徳を、貧困による結果とはみなさず、逆に、貧困に陥る者の属性、あるいは、自由な選択と主張し、貧困者に対する救済を否定する。
貧困者の取り締まり、あるいは放逐による社会の浄化・道徳化が彼らの目標である。ここまでは自己責任論の徹底で、社会を分裂させるものであり新保守主義ではない。

しかし、それでは内外に向かう軍事的権力の維持に行き詰まる。
そこで国民国家を否定しながら、国家主義としてのナショナリズム(言葉の上では矛盾するが)を鼓吹する必要が生まれる。
これが新保守主義である。なんの節操もなく、新自由主義者によって社会統合が謳われる。
それは主として排外主義である、
現代の日本では嫌韓、嫌中として表現されている。

一方、グローバリゼーションに必要である限りにおいて、貧困対策が声高に唱えられる。ビル・ゲイツの巨額な寄付や各種のチャリティ企画などがその例である。古い支配者の悪徳を新しい支配者が詫びているようにもそれは演出される。

その際、国民国家内の貧困は敢えて無視されるが、新自由主義の規制解体による道徳の解体を覆い隠す役割は十分果たされる。

しかし、問題は、例えば中国にナショナリズムが鏡像として伝染することである。それは第3次世界大戦の現実的な脅威になるだろう。そのさい、中国のナショナリズムを批判することはどれだけの予防効果もない。

必要なのは、先進国のナショナリズムの根を断つことである。

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