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2014年8月26日 (火)

ユマニチュード DVD 医学書院 2014/5

ユマニチュード DVD 医学書院 2014/5
http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=87644
が届いたので視聴。

早速、病棟でなるべくゆっくり遠くから患者さんの視野の中に入って行くようにし、驚かさないで僕を認識してもらいながら声をかけて診察を始めるようにした。そうすると、なんと患者さんの多くが笑って反応し返事をした。僕も自然に患者さんの手に触っている。

これまで多くの老人が、肺炎など入院の原因になった病気だけは改善して退院して行ったが、その間僕とはほとんどコミュニケーションがないことが多かった。そのため、どの老人も同じに見えて、印象も残らなかった。次第に、患者さんは電子カルテのディスプレイ上の情報になって行った。身体診察をしてカルテに客観的な情報を書き込んでも、内視鏡をして画像を載せても、複雑な生活背景を知っても、ディスプレイ上の情報のひとかたまりであることは同じだった。その情報をうまく構成すれば、一つの物語を創作出来た。それはヴァーチャル医療と言ってもよかっただろう。

いったい、これまで何をしてきたのだろう。診察前の30秒を惜しんで人間相手の獣医になっていたのは僕だった。

ただ、DVDを見進めて行くうちに、高齢者を巧みに操作すること自体に喜びを感じる危険も感じてきた。そこに陥らないためには何が必要だろうか。

実はそこに民医連らしさミンイレニチュードが出現する。

ケアする人への援助(ドォーリア)がその中心になるだろう。ミンイレニチュードとは、ケアされる人とケアする人を中心にした同心円を形成するということになるだろう。それはケアの倫理とも呼ばれるものである。
それは、仲間としての批判ということもふくむ。絶えず360度の批判が与えられることこそ、「チャンピオンの朝食」なのである。

また、ケアに関わる自分の中に生まれる分人を意識し、他者との関係で自分があることをいつも自覚していることも必要だろう。

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