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2014年8月11日 (月)

2014年 内科の風景(内科学会問題集から)

問題が年々マニアックになっているような感じもするが、それは僕の勉強不足によるのだろうか。

1:薬の副作用について

不整脈に使う薬シベンゾリン、商品名シベノールは低血糖を起こすことで有名である。心房細動と低血糖、という事例を見てバセドウ病を疑う前に、お薬手帳を見なさい、ということでもある。

やはり心房細動に使うかもしれないリバーロキサバン、商品名イグザレルト(Xa=テンエーと読むらしい=阻害剤)の問題の副作用は間質性肺炎である。

緩下剤マグミットの副作用は高Mg血症で呼吸抑制などが起こる。

2:発作性夜間ヘモグロビン尿症PNHは再生不良性貧血などにも発展する重要な病気だが、症状は不思議である。

溶血、黄疸が組織のNO枯渇に至って、腹痛、嚥下障害、呼吸困難、血栓、骨髄不全を引き起こす。

病気の不思議を実感させてくれる。患者さんには申し訳ない感想だが。

3:薬物アレルギー

もう使わないが、喉の痛みに使っていたリゾチームという薬は、卵アレルギー患者では危険だった。

タンナルビンという下痢止めもほとんど使わなくなったが、牛乳アレルギーの人には危険である。

こう書くとどちらがどうだったか大抵間違う。使わないからもう不要の知識である。

頻度で言うとやはりセフェム系の抗生剤によることが多い。

4と5:潰瘍性大腸炎

患者数13万人。男女差はない。生命予後は健康人とほぼ同じ。アルコールには関係ないが、喫煙者にはすくない。タバコを吸うと潰瘍性大腸炎になりにくいのである。タバコにもいいところがある。安倍君も喫煙すべし。

安倍君が頼っているのはアサコールという治療薬。リウマチに使うレミケードやプログラフも効果あり。プレドニンは増悪時には使う。成分栄養剤はクローン病には使うが、潰瘍性大腸炎には使わない。

6:症候性の高カルシウム血症の治療

ビスホスホネートの内服か注射が最も有効。ラシックスも生食の点滴も、場合によっては透析もする。カルシトニンの筋肉注射も効果はあるが、保険適応がない。静脈注射はなおさら。

7:劇症1型糖尿病について

脱水、腎不全糖尿病性ケトアシドーシスを呈するのは、通常の1型糖尿病の悪化やペットボトルケトーシスと同じだが、リパーゼなど血中膵外分泌酵素の上昇を伴い、かつ、劇的な発症のあかしとしてA1cが低い(8.7未満)、また1ヶ月前は空腹時血糖正常という特徴がある。

8:痛みを伴う激しい皮下出血。血小板やフィブリノーゲン正常肝硬変やでDICではない。正常血漿と1:1で混ぜ合わせた血液で血液が凝固する時間APTTの検査(クロスミキシング)が正常化しないほど、APTTが延長する。

大人になって、子どもの血友病のようなそんな症状の出ることがある。 これは後天性血友病Aという。第Ⅷ因子に関係する遺伝子は正常。何らかの理由で、第Ⅷ因子の阻害物質が血中に出現するのである。

大人が出血傾向を呈する病気、例えばフォン・ウイルブラント病は出血時間は延長するが血小板の数は正常である。問題は血小板の機能にある。抗リン脂質抗体症候群は血栓や流産のほうが目立つ。

9: 心房細動、僧帽弁閉鎖不全、xpでの葉間胸水(初心者は肺癌とまちがえるが)がある時、診療所の医師はとりあえず何をするか

それはまぁ経口の利尿剤を与えて数日後にもう一回診察するのじゃないか?それ以外に何を?

10:尿路感染症にキノロン系の抗菌剤を投与されて偽膜性腸炎になった人に何をするか。

バンコマイシンの点滴は絶対しません。メトロニダゾール、商品名フラジールの内服です。あまりにも簡単で、バカにしているのか、とでも言いたいが、偽膜性腸炎が、便検査で行われることが多くなった今、その内視鏡像を知る人がいなくなったかもしれない。そういう人には少し難しいかも。

胃潰瘍の薬PPIが多用され、かつ手指をアルコールだけで簡易消毒する怠け者が多いせいか、かっては菌交代現象だった偽膜性腸炎はすっかり院内感染症になってしまったのである。

手を水道で洗う姿が美しい医師や看護師にならないといけない。

12:飯を食わずに大酒を飲んでいるとビタミンB1が欠乏して認知症になる。ウエルニッケ脳症という。

CTではあまり特記すべき所見がない。MRIでは中脳水道あたりに変化が出る。

こういう人に栄養不足だからと、ブドウ糖の点滴をすると、取り返しのつかないことに。栄養を与えると同時に、栄養を利用するためのビタミンB1をいれること。

13:グラム陰性双球菌である淋菌感染症の治療に現時点で最も良い抗生剤は?難問。

保険適用でないが、ガイドラインの推奨からはCTRX(商品名ロセフィン)

14:腎機能評価の問題。クレアチニンは尿細管から尿に分泌される部分があるので、正確にGFRを表現するイヌリンより、クリアランス値が高く計算されてしまう。

クレアチニンを用いた推算GFRは慢性腎障害のためのもので早期腎障害は対象ではない。そのためにはシスタチンC、β2MGがいい。

筋肉量の少ない老人では、クレアチニンクリアランスは不正確になるので、シスタチンCを用いた推定GFRの方が良い。

同じ意味で、小児にはクレアチニンを用いた推定GFRは使わない。

正確に腎機能を反映するイヌリンクリアランスを基準にすると、推定GFRは75%が基準GFR±30%にようやく入るという粗さである。

15:鼻ポリープもあるアスピリン喘息患者に安全に使用できる鎮痛薬はあるか?
COX2選択阻害剤は日本ではセレコキシブ(商品名セレコックス)しかない。

16: 最近生じて次第に症状が強くなっている労作性狭心症。不安定狭心症である。

この時してはならないことは、運動負荷心電図検査である。診断がついた時、あなたの医師生命はかってない危機に陥っている。

17:キャンプに行った後10日前後の発熱とかゆみのない発疹。刺し口。リンパ節腫大。脈拍も多い。肝臓障害もある。血小板減少。

夏ならば日本紅斑熱。冬ならば、ツツガムシ病。ワクチンはない。

抗生剤はテトラサイクリンを使う。

18:脳炎を思わせる症状。四肢がピクッとするミオクローヌスもある。脳波は周期性同期放電(亜急性硬化性全脳炎=はしかの後遺症、クロイツフェルト・ヤコブ病)
MRIでは大脳皮質にびまん性に高信号

クロイツフェルト・ヤコブ病はプリオン病の代表的疾患で、進行性致死的疾患である。よくなったりわるくなったりを繰り返すわけではない。1年間に1000万人に1人、日本全体で10人強。

血漿交換も無意味で、これと言った治療法はない。

大切なことは特別な隔離管理は必要がないということである。

19:脳梗塞既往のある心房細動患者にプラザキサかイグザレルトを投与しようとする時は、クレアチニン・クリアランス30ml/分未満なら投与禁忌である。

20:拡張不全型心不全のように、左室駆出率が保たれた心不全の特徴

高齢女性に多い。予後不良。心不全の半分はこれ。ARBの効果なし。むしろアルダクトンが良い。

21:尿蛋白クレアチニン比  g/g・crがわかり、尿中1日クレアチニン排泄量がわかれば、1日尿タンパク量がわかる。どうもよく、その意味の分からない設問である。

実は通常は1日クレアチニン量など測らず、それを1gと仮定して、比例計算で、随時尿蛋白から1日尿蛋白を推定する。そのためにg/gCrなるものが考案されたのである。例随時尿蛋白100mg、随時尿クレアチニン200mg→1日尿蛋白推測量500mg。
ところがやせた老人だと1日尿クレアチニンはその半分くらいにしかならない。それが推測されるときは上記の式の1/2とするのである。

ただそれだけの問題。

22 :吐血による出血性ショック。血液型不明でともかく赤血球濃厚液と新鮮凍結血漿を輸血したい。何を使えばいい?

ドラマERなら「オーマイナス」と叫ぶだろうが、日本では赤血球濃厚液O型Rh+、新鮮凍結血漿AB型Rh+を使う。

23:胃腸炎後10日前後で発症するギラン・バレ症候群。四肢遠位部優位の筋力低下、腱反射の消失。

もちろん遺伝性ではない。抗ガングリオシド抗体陽性の自己免疫疾患である。球麻痺も生じる。このため、重症の誤嚥性肺炎も生じる。自律神経も障害されて不整脈、血圧変動強ければ生命予後は悪い。発症後しばらくして髄液で蛋白細胞解離所見が完成する。治療は免疫グロブリン大量投与である。

24:パルボウイルスB19は伝染性紅斑(リンゴ病)を引き起こすありふれたウイルスだが、より重大な疾患の原因となることがある。

遺伝性球状赤血球症(溶血性貧血になる、赤血球が有口赤血球という特殊な形になる、親も治療として脾臓摘出など受けている)の人がこのウイルスに感染すると、骨髄中の赤血球先駆細胞を傷害されて、慢性の骨髄不全を起こして、貧血が重篤になる。

この時網赤血球は骨髄不全の表現として減少する(正常0.5-1.5%)。また溶血の亢進のため、黄疸を生じ、肝臓や脾臓も腫大する。

25:カプセル小腸内視鏡が普及して、鎮痛剤由来の出血性小腸潰瘍が意外に頻度が多いことがわかってきた。

それをダブルバルーン小腸内視鏡で直接確認した時にどうするか。内視鏡的焼灼か、鎮痛剤の中止か。

悩むところだが、顕性の出血がないのであれば焼灼はしないだろう。

26:糖尿病と高血圧があって、Cr2.0、eGFR19.8ml/分のCKDの人の生活でいろいろ起こってくることで何に注意すべきか、という話。

インフルエンザになったらタミフルは減量。
脱水になったら、ARBすぐに中止。
膝が痛くても鎮痛剤は毎日服用はダメ。
帯状疱疹でもバルトレックスは減量。

27:下垂体前葉の機能低下ではコートリルとチラージンSが補充されていることが多い。
その人が風邪をひいたあと肺炎になり高熱を伴って意識レベル低下し、血圧低下し、頻拍になっていた。

これは急性の副腎不全である。低血糖になるだろうし、Naも低下するだろう。その対策をしながら
コートリルの補充はする。
しかし、発熱、頻拍あれば、チラージンSの補充はしないだろう。自信なし。

28:  喘息であれば喘鳴があり、喘息でなければ喘鳴がないわけではない。

咳喘息は喘息でありながら喘鳴がないのが特徴である。

心不全、COPD、アレルギー性肺アスペルギルス症、pーANCAが陽性なので有名な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(Churg-Strauss症候群)は喘鳴がある。

29:関節リウマチにメソトレキセートが頻用され始めて、一旦治癒しているとされていたB型肝炎が再燃することが多くなった。

B型肝炎ウイルスが体内に潜んでいる可能性はHBs抗原ではわからない。最も確かなのはHBc抗体検査である。これが陽性なら、どんなに数が少なくてもウイルスはどこかに残っている可能性がある。

したがって、メソトレキセートや副腎皮質ホルモンを使用する可能性がある入院の時は入院時検査でHBc抗体を調べないといけない。

HBVーDNAは良さそうだが、感度が低いし、もともと、抗ウイルス治療の効果を判定する方法なのである。

30:脳血栓溶解剤の切り札であるtPA アルテプラーゼの禁忌

PTーINR 1.7以上、3ヶ月以内の脳出血・脳梗塞既往、3週間以内の消化管出血既往、血圧185/110以上、血小板10万以下、血糖400以上など。誰がこんなことを暗記できるだろう!

31:甲状腺が急に腫れて痛くなり発熱する病気は二つある。

一つは亜急性甲状腺炎。一過性に甲状腺機能が亢進する。エコーでは低エコー。治療はステロイド。これにメルカゾールを投与している医師を見たことがあるが、それは意味がない。

もう一つは梨状窩瘻にともなう化膿性甲状腺炎。エコーでは膿瘍。治療は抗生剤。これは12歳未満で、必ず左側である。

風邪をひいたあと、甲状腺左葉が腫れて痛がっていると間違えるかもしれない。

32:もっとも頻度の高い悪性リンパ腫、DLBCLびまん性大細胞性B細胞リンパ腫が診断されても、表在リンパ節がふれず、全身状態良好であれば、経過観察watchful waiting する。

33:事前確率→事前オッズ→【事前オッズ❌陽性尤度比(すなわち感度/(1-特異度)=事後オッズ】→事後確率

確率/1-確率=オッズ、オッズ/1+オッズ=確率 という計算をいつも覚えていないといけない。

34:若くして帯状疱疹を繰り返し、口腔内カンジダ症があればHIV感染症をまず考える。サイトメガロウイルス感染症なら肺炎肝炎である。

35,36:全身性の強皮症 なら抗トポイソメラーゼⅠ抗体(Scl70抗体)という基礎的知識。

合併しやすい疾患   ANCA関連血管炎ー多発単神経炎、乾燥性角結膜炎やアミロイドーシスー関節リウマチ、肺高血圧症ー強皮症

37:フロー・ボリューム曲線で台形、あるいは箱型になるのは上気道狭窄

38:ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎

内視鏡診断が先行しないと治療が保険適応にならない。
一次除菌の成功率は70%。
治療効果判定は服薬終了4週以降に尿素呼気試験で行う。
除菌成功後、再感染率は年率2%程度。

39:大動脈弁狭窄についての知識

大動脈弁口面積は正常3.0平方cm、1.5以下で症状を生じる。大動脈弁通過血流速度4.5m/秒で圧格差64mmhg以上となり手術適応

速脈(さっと強くなってさっと弱くなる)をきたすのは大動脈弁閉鎖不全のほう。
突然死しやすい。
薬物治療はない。
原因は動脈硬化性がおおくなった。

40:糖尿病透析患者の血糖コントロールを見るには、A1cよりグリコアルブミンのほうが良い。A1cは低く出る。

逆にネフローゼでは、蛋白代謝が早くなって、グリコアルブミンが低くでてしまう。

41:IgGが中等度低下、IgAとIgMが0に近い、腎不全もあるとなれば何を考えるか。リンパ球性形質細胞性リンパ腫ならIgMが増える。キャッスルマン病なら免疫グロブリンは全体に増える。

となると、多発性骨髄腫くらい?正直これは分からない。

42:急性膵炎の有効な治療は輸液

43:皮膚の生検で核が細胞の辺縁に並ぶラングハンス巨細胞を認め、完全房室ブロックなどを認めると心サルコイドーシスを考える。

44:ヘビースモーカーでCOPDを思わせるのに、スパイロで異常なく、ガス交換を検査するDLCO(正常70%)が低下している、CTでは蜂巣肺、という病態がある。
これは気腫合併性肺線維症で、肺高血圧症による労作時呼吸困難が強い。

45:症状があるが日常生活が遅れるがん患者はPS1と分類される。

その人が肝臓転移のある膵臓癌であれば、ジェムザールによる化学療法が選択される。

肝臓転移がなければ化学療法と放射線療法の併用となる。
ただし、骨転移と脳転移には放射線療法をおこなうこともある。

46:癌に伴う浮腫は早期には圧痕を残すが、晩期には残らなくなる。リンパ性浮腫の特徴である。

47:ALSの4大陰性徴候すなわち、褥瘡、眼球運動、膀胱直腸障害、知覚障害が少ない、あるいはないこと。
また、ALSの特徴としての深部反射の亢進、バビンスキ徴候陽性、腱反射の亢進、線維束収縮、球麻痺、呼吸筋麻痺など

48:手指の変形性関節障害としてのへバーデン結節。XPでは骨棘があるはず。

49:水中毒でNa120くらいになると意識障害、頭痛、嘔気があらわれる。治療は飲水制限。
トルバブタン、商品名サムスカがここで検討されているが、抗利尿ホルモンに拮抗するので水利尿がつき良さそうだが、、保険適用はない。

50:運動誘発性の食物アレルギーにはエピペンを処方しないといけない

何才でも起こりうるし、食直後の運動だけが問題ということではない。

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