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2014年7月 3日 (木)

東欧移民の頭痛

最近は音読しながらゆっくり本を読むのが好きになった。

今日の夕方も自分の下手な発音を確かめながら読んでいたモイラ・スチュアート編著「患者中心の医療」第3版の中で出会った、なかなかいいエピソードをちょっと訳しておきたい。

98ページ:「マリアは新しく家庭医になってくれた医師に、主に自分の長く続いている頭痛について聞いてもらおうと思ってやって来た。典型的には目の後ろと額に痛みを感じるのである。

前医はいろいろ検査してくれて、頭痛専門医にも紹介してくれた。医師たちは普通型の片頭痛だと診断したが、標準的な治療はあまり効かなかった。

新しい家庭医はマリアがとても心配そうでいつも深いしわを眉のあたりに刻んでいるのに気づいた。彼はマリアの家族について聞き、彼女が夫と二人の息子の4人で東欧から移民となってやって来たことを知った。
夫は安定した職を見つけられないで苦しんでおり、彼女は故郷が懐かしくてならなかったが、二人の息子は新しい国によくなじんで、友達もたくさんできていた。

新しい移民であることのストレスが頭痛の原因だと考えながら、家庭医は、今度来る時、彼女の故郷の写真を持って来て、そこでの暮らしについて教えてほしいと頼んだ。

マリアは喜んで、言われる通りに昔の家、結婚式、子供の小さかった頃の写真を持ってやって来た。
そして、残して来たものへの恋しさをいつまでも話し続けた。しかし、話し終わると、にっこりしながら自分に示された家庭医の関心にお礼を言った。

この診察以降、頭痛の回数が目立って減った。」

としとったせいなのか、この程度のものを訳しながらでも、僕は少し泣いてしまう。
自分がついにそういう医者になれなかったことへの悔恨や、遠くに一人残っている父にそういう主治医のいないことへの不安がきっと背景にあるのである。

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