田中滋氏よ、「 ケア付きコミュニティ」は「温泉付き別荘地」的発想だ
遅まきながら、日本医師会雑誌2014/7「地域包括ケアの今と将来」を批判的に読む。
政府のブレーンとなっている地域包括ケア研究会の田中滋慶応大学名誉教授の発言を追う。
彼のキャッチ・フレーズは、地域包括ケアとは「ケア付きコミュニティ」だということである。
しかし、これは「 温泉付き別荘地」と変わらないものだということを発見。
「 業者によってふんだんに準備された ケアが 、あなたの財布次第で買えるコミュニティ」ということである。
「各戸とも 親切なケアのかけ流しです!」とでも言うところだろうか。
この言葉に騙されてはいけない。
例えばコンビニや宅配業者によるボランティアがわりの素人ケアも、プロフェッショナルな在宅・施設ケアもすべて市場化するというのが地域ケアである。
そのための資本を垂直にも(急性期から慢性期まで)、水平にも(在宅医療から介護まで)一貫させるというのが包括=統合ケアである。 そのための経営の単純化のため、小さくは「地域包括ケアステーション」、大きくは、各事業所を統括する持ち株会社ホールディング型カンパニーがケアに導入されようとしている。
それに対抗して、僕たちがめざすのは、「ケアのためのコミュニティ」。
本来、コミュニティはそのためにあるのだから、それもおかしくて、「ケアを本質とするコミュニティの復活的創造」ということだろうか。
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