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2014年6月 8日 (日)

今日の挨拶

《今日の挨拶原稿》

皆さん、おはようございます。全日本民医連副会長の野田と申します。普段は山口の宇部協立病院そのほかで内科の医者をしています。

毎年開いている地協総会ですが、地協がより強力にその機能を発揮して行くため、今回は、地域包括ケアに対して各県連がどう向き合っているかをテーマにしてみることにしました。

政府の進める地域包括ケアは、「地域」の自助と互助という名前で国民の自己責任原則を徹底し、「包括」という名前で上から医療介護の事業所を統合して巨大資本の支配のもとにおくという2点から、どう考えても典型的な新自由主義の政策です。

日本の新自由主義政策の司令塔は三つあって、産業競争力会議と、規制改革会議、国家戦略特区諮問会議がそれに当たります。

一例として、産業競争力会議で最近議論されているものに「残業代ゼロ法案」があります。
年収900万円程度の労働者からこれを適用しようとする経済産業省に対して、年収3000万円以上の高級サラリーマンに限定しようとする厚生労働省が抵抗していますが、田村厚生大臣は次の内閣改造で更迭され、厚生労働省の姿勢が後退するのは確実と見られています。

 「規制改革会議」が議論しているのが「選択療養」案です。混合診療の完全自由化に等しいこの案には、日本医師会と4病院団体協議会が足並みを揃えて猛反対していますが、一昨日の朝日新聞には2016年度実施の方向を政府が決めたという記事が一面にありました。日医と病院団体が反対しているからと、油断は全くできない状況だということがよくわかります。

地域包括ケアを包含する大きな計画が産業競争力会議で話し合われているのはご存知でしょうか。
 元岩手県知事、総務大臣だった増田寛也氏が提出している、非営利ホールディング型カンパニー創設の計画です。

「産業力競争会議、増田寛也、医療介護分野の成長戦略改訂」と検索していただくとすぐに見つかります。

 これは岡山大学で試験しようとしているものですが、岡山大学病院を中心に、「日本一のメガホスピタルとしての岡山大学メディカルセンター」というものを作り、岡山の主だった大型急性期病院を全部資本統合してしまい、それが、岡山県全体の医療の医療も、「岡山21世紀型地域ネットワーク」という名前で上から支配しようというものです。
そのなかに、岡山の地域包括ケアも組み込まれています。
 同じ時に提出された田村厚生労働大臣が提出した資料をみると、その意図が一層よくわかります
 実は、この非営利型ホールディングカンパニーには、株式会社がくっついて、自由に投資し、自由に配当を受けとっても良い仕組みになっています。
 非営利、というのは全くの偽りなのです。
 この株式会社にどこが想定されているかといえば、米日の生命保険会社です。
 巨大病院チェーンと巨大金融会社の複合体が急性期医療と地域包括ケアのすべてを支配する仕組みがここで計画されているのです。厚生労働省がけっして善玉でないことが分かります。
 この形態は、アメリカではすでに出来上がっているもので、保険料は払わされても、まともな医療は受けられない事実上の無保険者、保険料だけとられて受け取るものがないという点では詐欺の被害者を多数生み出すことが確実です。

詐欺の被害者が出した保険料は、混合診療を受けることができる富裕な人の医療保険適用部分で使われますから、貧しい人が富裕な人を援助していることになります。

 そういう地域包括ケアに対峙して、無差別平等・非営利を掲げた、民医連らしい住民本位の地域包括ケアが激突して行くというのが今の情勢なのですが、それは取りもなおさず、それを担う大量の医師集団を生みだすということであり、中四地協の総会で、地域包括ケアを今回のテーマにしたほんとうの意味はそこにあるということを改めて申し上げたいと思います。
 そう長くはない総会ですが、地協の歴史に画期をなす総会にしたいと思いますので熱心なご討議をよろしくお願いして、私の挨拶といたします。
 

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