雑誌「世界」7月号:集団的自衛権特集2
雑誌「世界」7月号(岩波書店)の今月のテーマは「日本外交の分水嶺ー集団的自衛権を問う2」である。
届いたばかりのものをざっと読んだ限りの話であるが、次の3点が重要だと思えた。
①アメリカの現政権は安倍政権を極右政権として警戒しており、安倍の手による直接的な改憲は嫌っている。安倍の手法による対韓国、対中国の無用な緊張の高まりも抑制したいと思っている。
② しかし、アメリカの対立と協力の二面的な対中国対策のなかで、日本とフィリピンの軍事的活用度は高めておきたいので、集団的自衛権の行使容認は実行させたい。この点で①の安倍の手による改憲はさせたくないという立場と両立するのは、現在僕たちの前で展開されている解釈改憲案しかない。安倍もこの方針に従わせられられているのである。そこで、あの滑稽な安倍パネルが記者会見で披露された。
③現在、軍事的緊張が強まっている背景にあるのは、米国、ヨーロッパ、日本、中国の軍需産業の要求であることもみておかなければならない。この利権勢力の出方は予想ができないことが多く、もっと警戒が必要だ。
総じて、現在の安倍政権の方向付けをしているのが、2012年8月の第3次アーミテージ・ナイ報告書らしい。それについては94ページ(集団的自衛権問題研究会)と156ページ(加治康男)で触れられているのが印象的である。
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