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2014年6月26日 (木)

雑誌「現代思想」2014年6月号 特集:ポスト・ビッグデータと統計学の時代・・・「インタビュー 津田敏秀『統計学は科学の文法である』」

例によって、○は僕が恣意的に変形した引用。*は僕の勝手な感想。

○因果関係を直接観察することはできない。

曝露と病気は観察できるが、その間にある因果関係の証明は、あくまで観察データに基づいて、定量的一般法則や概念を用いながら、推論を進めるしかない。

この推論部分を直感で行うと科学でなくなる。統計学的に推論して初めて科学になる。

*曝露されるほど病気になる率が高まる「量-反応関係」は定量的一般法則の代表

*健康の社会的決定要因SDHが確立されたときのような、曝露と病気の間に「媒介要因」を綿密に張り巡らせて、一つの物語として納得させる方法は「概念を用いておこなう推論」の代表格なのだろう。

これは決定論=メカニズム派の人も納得させるという意図を持っていたと思える。

しかしそのなかでもビッグデータを用いた定量的一般法則が共通して用いられていた。

○日本の科学の専門家、あるいは行政担当者間で行われていることは、科学の議論でなく、価値の議論だ。

*いわゆる信念対立。

○その原因は米ソ対立の冷戦的思考。

○福島では、甲状腺癌がすでに疫学的にはアウトブレイクしている。これに早い対応をするかどうかで、流行の山が小さくなるか大きくなるか決まる。

○「原発事故後に甲状腺癌が多発していない」という意見が正しい可能性もゼロではないが、その確率は天文学的数字分の1。その微細な可能性に賭けて準備を怠ることがどういう意味を持つか。

○ヨウ素131の内部被曝は今や問題ではない。空間線量がなお通常の数倍から数十倍になる地域で住み続けている外部被曝が問題。

○最も影響を受けやすい胎児だけでも、空間線量の低い所に移すことを急ぐべきだ。山一つ向こうにいくだけでも有効だ。

○チェルノブイリだって4年までに少しづつ甲状腺癌の増加があった。これは、感受性の高い人々で見られたもので、いわば正規分布の裾に当たる。ここで何の手も打たないと、5年以降の正規分布上の大量発生が避けられない。

○ベラルーシは19歳以上の方が発症例数が絶対数としては多かった。18歳以下だけのスクリーニングでよいのか。

○しかし、日本の医学が決定論=メカニズム論に固執している限り、福島原発事故でも早期発見ー早期対策に失敗することは約束されている。 水俣病やその他の公害と同じ失敗の轍を踏むものと予想される。

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