日本の医療を覆う巨大な陰謀:オバマ・ケア と日本の非営利ホールディング型医療法人
いつものように不真面目に会議に参加。
耳と目と手指が別々に働きながら、突発的に意識レベルの低下を繰り返す状態だったのだが、ふっと、景色が鮮やかになるように、意識が焦点を結んだ。
実は、堤未果のノーム・チョムスキーのインタビュー(雑誌「世界」2014年6月号)のなかで、二人がオバマによるアメリカ初の皆保険制度(いわゆるオバマ・ケア)を鋭く批判しているのが僕にはよく分からないでいた。
というのは、オバマ・ケアは
①「The accountable care organization (ACO)=複数の医療機関や医師などによる民間の医療統合組織で、アウトカム重視の健康戦略に基づき、地域住民に対する治療や疾病予防に取り組む」と
②「The patient-centered medical home(PCMH) =米国小児科学会が1967年に提唱したもので、患者中心の医療(Patient-Centered Medicine)を実践するかかりつけ医などを、患者にとっての医療の基地(Medical Home)としてとらえるもの」
の2点を採用しているのが特徴で、それなりに評価できると思っていたからである。
しかし、堤未果やチョムスキーの批判はそこにあるのでなく、アメリカの医療が、すでに巨大民間医療生命保険会社と巨大病院チェーンの癒着によって支配されている、そのなかに4000万人の無保険者を税金を使って誘導することは、その複合体に国庫から巨大な利益を渡すだけでなく、貧困者の医療内容を決定的に粗末なものにする、その結果、健康格差を拡大するばかりだ、というところにあるのだった。
僕がそれを理解するのは、眠りながら聞いていた会議に提供された、日本の医療で計画されているある巨大プロジェクトに関する資料の説明が、急によく分かったときだった。
その資料とは「産業競争力会議 医療・介護等分科会」2014/4/16で増田寛也という官僚が報告したものである。
岡山大学病院を中心に岡山の主だった公的病院を統合した「非営利ホールディングカンパニー型法人 岡山大学メディカルセンターOUMC」を作るというプランだった。経営母体が違う大型急性急性病院が新しい母法人の元に統合されて、資金などを融通するだけでなく、連携して、地域医療の先頭に立つという、一見積極的なものである。
だが、それは本当の姿なのか?
同じ日に田村厚労相が提出した資料には、この非営利ホールディング型カンパニー法人」の図にはこっそり、株式会社が結びつけられている。すなわち、この非営利型ホールディングには、株式会社が出資し、配当を受ける権利が約束されているのである。
となれば、非営利、とは仮面に過ぎない。
この株式会社とは何かが問題である。
生命保険会社と製薬会社だと仮定すれば全ての謎が解ける。
まさに、アメリカの医療を完全に支配している巨大医療生命保険会社と巨大病院チェーンの融合(複合体)がこうして日本で誕生する。日本では製薬会社もここに癒着してくる。
僕にとってオバマ・ケアの問題点は、実はこの図から初めて浮きあがって見えてきたのである。
この構想は、見方を変えれば、国民の財産である公的病院を巨利をつけて保険会社と製薬会社に闇になかで渡すものであり、大学病院を大学から奪うものでもある。
オバマ・ケアに堤未果とチョムスキーが批判した事態は、いままさに、岡山から日本に上陸しようとしているのである。
*その後、「オバマ・ケア +非営利ホールディング」で検索していると「2013年12月4日 第3回医療法人の事業展開等に関する検討会 議事録」
を見つけた。
そのなかで驚いたのはなんと、巨大病院チェーンと金融資本の直接的癒着のアイデアの源は、日本の、佐久総合病院をはじめとする長野厚生連だったという発言である。
**巨大病院チェーンと癒着している保険会社のもう一方の顔は証券会社である。彼らは証券を売って投資金を集めている。
貧困層相手のオバマ・ケアへの国庫支出が共和党などによって差し止められば、この証券はたちまち不良債権になる。
ここでサブプライム・ローンを思い出すのは決して間違いではない。
そして、同じことが、日本でも必ずいつかおこるだろう。
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