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2014年5月30日 (金)

貧困から生じる疾患のために、真っ先に他者との共感が絶たれるということが生むそれからの困難

調べ物をしていて、改めて知ったこと。
生活保護費用の半分は医療費(医療扶助)のために使われている。さらにその半分が精神疾患治療に使われている。精神疾患に必要な医療費の占める割合は非生活保護受給者の医療費に比べて随分と高いだろう。
この辺りに、当直の深夜、生活保護受給中の新患を診察室に呼び込む時の医師の鬱屈の原因がありそうである。
貧困が身体疾患の原因になることは容易に理解され、共感もしやすいのに、精神疾患になると、因果関係を間違えて、誤った嫌悪感を抱きやすいのだ。そして、それは患者に気づかれないはずがなく、悪循環を生んでいく。
しかし、考えてみれば、アルコールや薬物への依存を筆頭として貧困が精神に真っ先に打撃を与えないわけがなく、身体疾患発生はそれよりずっと遅れるだろう。
そこで、たとえば他の病院の精神科医が処方している薬をなくしたので、今ここで28日分処方し直して欲しい、どうしてもそうして欲しいなどという不合理な要求を深夜突きつけられて立ち往生する医師にとって、共感は無理としても、理性と学習でなんとか理解することが求められる。
貧困から生じる疾患のために、真っ先に他者との共感が絶たれるということが生むそれからの困難さを想像することが重要である。

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