ヘンリー・ダーガー「非現実の王国で 子どもを奴隷にする残逆な大人たち、グランデリニア軍との死闘を繰り広げる七人の少女戦士、ヴィヴィアン・ガールズの物語」作品社2000/5
休日の話
今読んでいる小説の中に現れた「ポーランド語はマイナーな言語ですから」という一言から、日本語はマイナーかどうかを考えた。
これほどたくさんの出版物を持つ言語がマイナーであるわけはない。
では、何人くらいしか話者がいなかったらマイナーな言語とされるのか。また、文学が成り立つには何人くらいの読者が必要か。
前者は難しいが、後者は容易な問いのようだ。源氏物語が書かれたころ、想定された読者は百人を超えたのだろうか?
そんなことをとりとめもなく考えていると、長男は「アウトサイダー・アートのことを知っていれば答えは簡単だ。読者は一人でよい」と言った。
それから、彼が持って来たのは ヘンリー・ダーガー「非現実の王国で 子どもを奴隷にする残逆な大人たち、グランデリニア軍との死闘を繰り広げる七人の少女戦士、ヴィヴィアン・ガールズの物語」作品社2000/5という、とんでもなく長い、とんでもない内容の絵物語だった。
1973年、シカゴに生まれ住んで81歳で孤独と悲惨さの中に死んだ作者の死後に発見されたこの作品の読者は明らかに作者一人と想定されていたが、今本になったものを見ると、完全な一つの作品である。
しかし、そのおかげで数少ない休日が奇妙な色彩で覆われてしまった気がする。
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