« 2014年4月 医療生協理事会挨拶 | トップページ | 大沢真幸「生権力の思想」ちくま新書2013/2 »

2014年4月26日 (土)

生活保護の動向に無関心でいることは、青年の戦死に手を貸すことになる

聞き逃してしまいそうな情報だった。

無料低額診療を行っているある診療所の事務長に、市立病院の事務局から、無料低額診療と保険薬局の関係はどうすればいいのかという質問の電話があったとのことである。
いったいどういう意図の電話だったのだろう?

そこで、僕がすぐに思い出したのは、隣の市の病院の無料低額診療がその市の生活保護対策の水際作戦の一環として利用されているという事実である。
生活保護を申請する前に同病院の無料低額診療を頼んで見たら、という誘導が市役所の窓口で行われているのだ。
もちろんそれに抗議はしているが実態は何も改まっていないだろう。

一方、隣の市では、生活保護患者は市立病院への受診が強力に誘導されている。この市にある診療所に通院したいという生活保護患者はその意思を通すのに議員や生健会の協力を頼まなければならないほどである。

もし、この市立病院が無料低額診療を始めたら、生活保護から無料低額に切り替えられる患者が多発するのではないか。
市にとっては、医療費自己負担分免除を行うだけで、生活保護支給費全額を節約できる名案ではないか。
生活保護のなかで医療扶助だけ先行して利用しやすい形で受給できる仕組みにならないか、というのは、無料低額の向こうに僕たちが考えた方向だった。それはあくまで、生活保護本体の拡充が目標である。その前段階としての医療扶助単給である。
だが、医療扶助まがいの無料低額診療制度を使って、生活保護を縮小する手もあるのだ。

まだ、何もわからない状態である。しかし、医療生協で「市立病院も無料低額診療を実施してください」などという署名に取り組むことはよほど慎重でなくてはならない、と思えた情報だった。

生活保護に関係する情報には、やはり敏感でなければならない。

なぜなら医療従事者にとって、「集団的自衛権」、「生活保護削減」「秘密保護法」はある視点からは一つのセットだからである。

集団的自衛権に踏み込めば、戦死も覚悟で入隊する自衛隊員がどうしても大量に必要だ。
そういう自衛隊員は貧困層の中からしか生まれて来ない。自衛隊に行かなければ生活も教育も成り立たない層を厚くするには、生活保護を縮小するしかない。
そして、そういう青年をリクルートする自衛隊部隊は、秘密保護法を駆使して学校や医療機関を協力させ、格好の青年を見付け出すのだろう。
これはただの空想ではない。2002年に米国では全米の各高校に高校生の経済状況などの個人情報を軍のリクルーターに提供することを義務付ける「落ちこぼれゼロ法」が成立した。学校が拒否したら助成金が削られるのである。こういう法律に守られた米軍は、徴兵制の復活など全く考えなくてもよいくらい貧しい志願兵に恵まれているのである。

生活保護の動向に無関心でいることは、青年の戦死に手を貸すことになるだろう。安倍政権が本格的極右政権に成長したいま、それはいくら強調してもしすぎることではないだろう。

|

« 2014年4月 医療生協理事会挨拶 | トップページ | 大沢真幸「生権力の思想」ちくま新書2013/2 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 生活保護の動向に無関心でいることは、青年の戦死に手を貸すことになる:

« 2014年4月 医療生協理事会挨拶 | トップページ | 大沢真幸「生権力の思想」ちくま新書2013/2 »