平田オリザ・井上ひさし「話し言葉の日本語」新潮文庫:井上ひさし・・・人生というのは九割九分まで辛いことの連続だというのが僕の世界観です。
1996年から2001年まで戯曲専門雑誌「せりふの時代」に連載された対談の記録。演劇に関する知識を得るには註も詳しく向いている。
引用したのは井上の発言のみ。
28ページ:小説と演劇では表現の得意なことが違う。それも時代によって交代している。
30ページ:戦前の左翼のように演劇や小説がテーマに引きずられてプロパガンダになってしまうのは、時代の制約、あるいは時代の要請であって、否定できるものではない。
322ページ:人生というのは九割九分まで辛いことの連続だというのが僕の世界観です。ここまで生きて来て、楽しいことはそんなになかったですから。
でも、辛い人生の中で一つでも希望があればそれにすがって生きることができるんですね。
323ページ:芝居を作って何が嬉しいかと言えば、劇場全体が「体験を共有できた」ときでしょう。そういうときは、帰り際、みんな優しい顔になっていますよね。作り手としてそれをロビーでみていて、時々、涙がでそうになります。
324ページ:それまで親不孝を繰り返して来た人が、たまたま、舞台をみて、劇場を出た直後に、故郷に一本の電話を入れようとすることだってある。奇跡は劇場で起こる。私たちはキリストか。
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