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2014年3月10日 (月)

内科学会雑誌2014/1 肝がん特集メモ

○ 肝がんではゲノム全体で1万以上の遺伝子変異が認められているが、実際に病態に関与するドライバー(運転手)変異はその一部であり、多くは無関係のパッセンジャー(乗客)変異と考えられている。

○P53遺伝子変異は20-30%の症例で認められるが、膵がんに特徴的なK-ras遺伝子変異はほとんど認められない。

○画像上の典型的肝細胞癌像が定義されており、これを認めれば、生検などの病理学的診断を経ず、直接治療に進んでよい。

○肝癌のサーベイランスは、超音波検査と3種の腫瘍マーカー(AFP、AFP-L3分画、PIVKA-Ⅱ)を組み合わせて行う。高感度AFP-L3分画は、AFPが10ng/ml未満でも測定可能。カットオフ値は15%。

○超音波造影剤ソナゾイドは投与後Kupffer細胞に取り込まれる

○MRI用造影剤Gd-EOB-DTPAプリモビストは肝細胞特異性造影剤。Gd(ガドリニウム)は細胞外液造影剤。両者とも腎不全患者に使うと、腎性全身性線維症を発生する可能性が高いので禁忌。リゾビストは網内系造影剤としてKuppfer細胞に取り込まれる。

○「肝癌診療ガイドライン」2013の、肝障害度は、従来のChild-Pugh分類と少し違っていて、肝性脳症をはずして、ICG15分値を入れた5項目になっている。

○同ガイドラインは、肝障害度A、腫瘍数1、腫瘍径3Cm未満の場合の治療法について、従来肝切除、ラジオ波焼灼の順位づけをしていなかったが、明確に肝切除が優先するとした。
○肝細胞癌の危険因子
高齢・飲酒・肥満・糖尿病はいずれも危険因子であるが、女性であることは危険因子ではない。男性であることが危険因子である。これは男性ホルモンアンドロゲンが肝癌の危険因子だということを意味する。
○典型的な肝細胞癌をドプラー超音波で観察すると外側から腫瘍を囲むかごのような血流が観察される。これをバスケット・パターンという。
肝細胞癌と鑑別すべき「局所的結節性過形成(FNH)」の場合、腫瘤の中心から外側に向かう車輪上の血流が観察される。これをspoke wheel ・パターンという。
○二重線量CT Dual-energy CT  造影効果判定をより精密にする
○MRI用造影剤Gd-EOB-DTPAプリモビストは肝細胞特異性造影剤なので、造影20分後の肝細胞相では、肝癌や腺腫は周囲肝実質より低信号になる。FNHは、腫瘍ではないので周囲肝細胞と等信号。肝血管腫は、周囲の血管と同じく肝実質より低信号になる。
○肝細胞がんに対する肝切除
*門脈本幹に腫瘍塞栓があっても手術で取り除くことができる
*死亡率は1%
*術中にエコーで門脈穿刺を行い、色素注入をして腫瘍のある区域を浮かび上がらせてその全体を切除することを「系統的切除」というが、肝内転位の抑制に有効である。
*肝左葉外側区域切除は、S2ーS3にまたがる肝細胞癌などが対象だが、腹腔鏡下で可能である。
○小型肝細胞がんは切除やRFA(ラジオ波焼灼)がゆうせんされるとおもわれているが、場合によっては肝動脈塞栓術TAEの適応になりえる。
○RFAはブドウ糖液を用いた人工胸水・腹水を駆使して施行する。
○肝細胞癌に唯一有効とされる分子標的薬ソラフェニブは、他の肝癌治療法トの併用が効果あるという成績がなく、進行癌への単剤投与がなされる。
○肝障害Cで、腫瘍が4個以上ある場合は、積極的治療は行わず緩和療法が選択される。
○肝移植にあたって、臓器保存液は特殊な用途のものが開発されており、生食は使わない。生体移植が98.4%、脳死移植は1%である。肝障害C,腫瘍3個以内が肝臓癌のための肝移植の適応。C型肝硬変の人に肝臓を移植してもほぼ100%C型肝炎再発するので、インターフェロン、レべトール、テラプレビルの3剤併用で相当良くなる.
○肝臓移植の適応は広がっている。NASHによる肝硬変も、原発性胆汁性肝硬変PBCも先天性胆道閉鎖症も急性肝不全も対象になる。
ただし、胃癌・大腸癌の肝臓転移は適応ではない。

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