民医連医療の基本像
青い寒天を流し込んだような瀬戸内海を見ながら東京に向かうと、駿河湾沖の太平洋は無数の引っ掻き傷のある皮膚のような波立ち方だった。
よく見ていると、白い波頭が動いているのが飛行機からも見えた。
月2回以上同じ航空路を大抵はいつも同じ席で過ごすことも数年に及んだが、今日は格別に静かな気持ちでやって来た。
夜は川本隆史さんの話を民医連の仲間とゆっくりと聞くという念願が実現したという楽しみもあったが、それだけではなく、僕のなかに民医連医療の基本像の素描が出来上がった、という安堵感があったからでもある。
「イアン・マックウイニーの患者中心の医療」 ×「マイケル・マーモットの社会疫学(ソリッド・ファクツ)」×「アマルティア・センの正義論、すなわち、ケイパビリティの平等論」
=民医連医療の基本理論
(これは、技術skill、知識knowledgement、態度=哲学attitudeの3要素に相当するし、臨床の課題、保健予防の課題、社会保障の課題という重層性も示しているし、同時に三位一体のものでもある)
これが僕の描いた公式である。外国のものばかり並べた、というのは当たっていない。民医連の独自の模索も、世界史のなかにあり、世界の最良の知恵と必然的に同期(シンクロナイズ)していたというだけのことである。
そして、こういう形で語るのでなければ、世界にも、次の世代にも通じないだろう。
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