小西竜太・藤沼康樹編「総合診療医に求められる医療マネジメント能力」カイ書林、2013/11
特に診療所でのチーム医療を考えてみようと思って買った本。民医連の医師も多数執筆しており親しみやすい。
気になることのみメモしておこう
*p6 筑波大学は学長が総合内科を病院のプラットフォームにしようとしてくれたので働きやすかった
*p7 医師のロイヤリティー(帰属感、忠誠度)について 所属組織に対するロイヤリティーが、学会や専門医仲間に対するロイヤリティーに比べて高いかどうか。
総合医は組織に対するロイヤリティが高い・・・≪?≫
*p15
看護師他の職員が辞める理由の60%は医師の破壊的行為disruptive behaviour(机を叩いたり、椅子を蹴飛ばしたり、大声で怒鳴る)による
○私も要注意だ!!
*p31 グループとチームの違いを明確に!!
グループは組織構造から自然にかつ受動的に生みだされる集団
現実を糊塗する裏ルールや、群れている安心感が優先して、個人的には間違っていると思うことでもグループの大勢に同調するという傾向を生みやすい
業績はメンバーの行為の総和
*p37
チームは明確な目標とデザインを持って、意図的、能動的に「異なる機能を持つ人を集めたもの
業績はメンバーの能力の相乗
○チームとしてデザインしなければならない集団を、グループとして放置していないか?
*P38 リーダーシップは変化に対応するため発揮される
*p38 マネージメントは複雑さに対応するため発揮される
*p67 松村理司氏の意見
医学が発展すると医療費は増える。しかし、医療資源には限りがある。このとき、「軍事費を減らせ、大企業の負担を増やせ」というのは間違いではないが、医療の玄人としては、合理的な医療の仕組みを作って医療費がむやみに増やさない努力を示すべきだ。宮城征四郎は「君たちの軽薄な頭脳が検査の洪水を起こす」と言った。
○これは二木先生がいつも言っている、医療者自身の自浄作用がないと、医療費の総枠拡大に国民は合意を与えないという主張と同じだ。
*P77 同じく松村理司氏の意見
臨床の各論的な力を、総論の理論で薄めると、とんでもない指導医が出来上がる。上手に講演するのはこういう輩だ。
(各論にあたる臨床現場での力がないのに、総論の話ばかりしている指導医という意味)
○ドキッ・・・とするのは僕ではない。そもそも講演が下手だから。
*P77 同じく松村理司氏の意見
私が臨床現場で感心する研修医は、そういう指導医から出来が悪いと言われた研修医に限られる。
*P78 同じく松村理司氏の意見
教育上はむやみに検査しない方がよいから出来高制だと経営は悪くなる。
これが包括払いになると、検査しない方が経営がよくなるから、教育と経営が両立するという幸せなことになる。
・・・・・≪これはユニークな意見だ≫
*p140 種田憲一郎によるアメリカの公的医療組織の略語解説
AHRQ Agency for Healthcare Reseach and Quality 米国医療研究品質局
IOM Institute of Medicine 米国医学院
DOD Department of Defense 米国国防総省・・・これもまた種田君には医療研究機関なのである
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