冬の日
50歳台の終わり頃から診ていて、この5年間は蘇生後脳症で意識なく人工呼吸器下で治療していた人が亡くなった。もう70歳台半ばだった。
最後は多臓器不全状態が続いたので、昨夜は午前0時ごろ当直医に看取りを依頼して帰宅した。今日は、午後から病院の外に出て岩国市に往復して5時間を費やしたので、病棟担当医に看取りを頼んだ。
結局は、僕が岩国から病院に帰り仕事を再開した数時間後にこの人は亡くなった。誰も言ってくれたわけではないが、僕の帰りを待っていたのだと自分で思った。
見舞いに来ていたのも、死亡に立ちあったのも子どもの姉弟二人だけだった。いつも寡黙な人たちだった。どんなお葬式を挙げるのだろう。
裏口の戸をあけると吹き込んでくる風の中で去っていく霊柩車を見送ってしまうと、強い寂寞感が襲ってきて不覚にも少し泣いた。
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