日本医事新報の「二人三脚」シリーズ・・・会話ベースの診療学・・・医学部マンガ学科
日本医事新報という、気軽に読めることを看板にした週刊医学誌に、時々「二人三脚○○病」という特集が組まれるようになった。
二人三脚という意味は、医者と患者の二人三脚で病気を治そうということだろう。
内容は、今のところ医者と患者の会話を冒頭に掲げて、その後に疾患の病態と患者説明の要点のわかりやすい解説をするというスタイルに限られていて、まだまだ医学生物学的なレベルで終始しているといえる。
しかし、医者と患者が共通の目標を持つことを重視するという意味では「患者中心の医療」PCMに沿っており、会話を中心に診療現場を再現するという意味では「物語を基礎にした医療」NBMに近い。
医療安全・医療倫理や、診察室からスタートする公衆衛生という分野の記述にも、この形式はふさわしいと思える。
おそらく、今後こういう形式で書かれるものが医学雑誌にも増えるのだろう。
考えると、それは「マンガで学ぶ○○病」というのにきわめて近い。
マンガという形式は、わかりやすさというより、医者と患者の会話や物語のやり取りを描写するのにきわめて優れた方法であり、PCMやNBMの普及を目的として「医療マンガ作家」という専門職が成立してもおかしくない。
今後、先進的な大学にネッタ―図譜を生んだ医療イラストレーション学科が存在するように、医療の未来をPCMやNBMに託すまじめな大学には医学部医療マンガ学科という学科が誕生するだろう。
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