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2013年10月27日 (日)

韓国へ・・・反TPPの国際連帯組織結成をめざして

(1)博多駅から福岡空港の国際線ターミナルまでタクシーに乗ったが、約半数の小型タクシーはプリウスに変わっている。宇部では絶対にありえない。

聞いてみるとLPGガスに比べると燃費が段違いに良いとのことである。初期投資ができれば絶対にこちらの方がいい、と運転手さんがいう。

プリウスの体に良い点は静かなことで落ち着いた気分になるのだが、そんなことをはるかに凌駕して、23時間労働、その間に義務づけられた3時間の休憩もままならないという労働態様の話を聞く。

「車が変わっても楽ではありません」

53歳から8年間タクシー運転手をしているということだから、僕と同い年の人である。
車内健康相談を始めようと思ったところで、空港についてそれは尻切れとんぼになった。
「お気を付けて」と言って送ってもらったのは、今年の学運交の札幌のタクシー以来である。

(2) 福岡空港を飛び立つとすぐに海岸沿いの大都市が現れる。釜山である。それから低い山並みの間を縫う高速道路を目で追っていると、飛行機は間もなく高度を落とし、巨大な干潟の中にある仁川空港に着く。それからソウルまでは車一時間程度である。福岡のすぐ向こうにこんな巨大な都市があることをふだん意識せず生きていることがむしろ不思議に思える。

(3)ソウル明洞の世宗ホテルに宿泊先。
ホテル専用のWi-Fiが高速なので、この点は満足する。

「韓国で平和と人権を考える」、というテーマの記念ツアーなのだが、いずれも闘わずして得られるものではないので、現地の市民運動活動家と議論すれば、話は極めて具体的で実践的となる。

日本と韓国の置かれた情勢を考えると、相互の関連は極めて深く、連携なしにはどちらの運動の前進もないと思える。

これはそう認識する機会がないと分からないことなので、多くの人が参加する交流を繰り返す必要があるだろう。

見学の部分はなくし、討論会のみという形式も考えた方がいいかも知れない。

もちろん、そういう相手は韓国の市民運動だけではないのだろうが、いまのところ、同じような国の候補はなさそうだ。

(4)韓国でも右翼教科書が出版されて議論を呼んでいる。

その特徴は李承晩を反共の聖人と賛美し、パク・チョンヒ以降の実質的な軍事独裁政権を免罪する点にある。
さらには、日本による侵略を資本主義を育成した近代化と美化する。
したがって、独立運動や民主化運動については不当な低い評価しか与えない。
これはパク・ウネの登場と軌を一にする。

一方日本では、従軍慰安婦や在日韓国人を標的にした右翼的活動が目立っている。ヘイト・スピーチを特徴とするレイシズムである。安倍晋三や橋下徹の台頭がその後ろ盾になっているのは明らかである。

内容においては矛盾するこの韓日の右翼的傾向を共通したものとみるなら、その背景は、二つあるだろう。

一つは、片や格差激化による不満に対する資本主義美化論をかざしての抑え込みであり、片や排外主義による方向そらしである。これらはいずれもグローバル化した大企業の要請に応えるものとみてよい。

もう一つは、アメリカの軍事要求である。片や徴兵制の維持、片や平和憲法の廃止である。

この共通する右翼的攻勢に反対する運動が連帯しないでいられないのは当然である。

(5)日本でのTPP反対運動が韓国のFTA反対運動のように国民的な盛り上がりを作り出せないのは、農業の不振しろ、雇用の不安定や、健康破壊にも、自己責任論が深く浸透しているからだろう。

唯一、反原発運動のみが自己責任論の影響なしに広がりを獲得している。

原発廃止も、ドイツの例を見るまでもなく、間違いなくISD条項の対象になるということを手がかりに、反TPP運動につながって行く可能性はあり、それは追求したい。

自己責任論の克服は腰を落ち着けてじっくりやらなければ無理だろう。そのときの根拠は、平等な健康権や、健康の社会的要因SDHの認識である。

したがって、実践上の当面の切り札は、以前も書いたことがあるが、やはり反TPPの国際運動の組織である。

聞いたところによると、アメリカにも健康権の確立を目指しTPPに反対する医師の集団があるという。また、カナダは北米自由貿易協定NAFTAによってその優れた医療保障は7割も縮小され、民間保険に移行したとのことである。

韓国、カナダ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、ベトナムなどからTPPに反対する医療者をあつめて、共同声明を発表すれば、日本はともかく、国際的なジャーナリズムの注目は喚起できる。

だが、この前それを思いついて語ったときに、なぜ暴論扱いされて終わってしまったのか、今になっては思い出せない。

今度こそは、「韓国の友人」達の意見でもあるとして語ることが出来るので、実現の可能性の前髪を捕まえたい。

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