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2013年10月12日 (土)

入門健診

金曜日の午前に行っている診療所でいつものように診察をしていると、狭い待合い室が急に騒がしくなる。

群れをなした若者のふざけ合う声。「小便なんか出ん!」と叫んでいる者もいる。

山口県でも建築工事のちょっとしたバブルが起きているようで、にわか作りの鳶(とび)の現場投入が増えている。

そうしたときに、どこかの請負業者が集めてきた若者グループが、現場に入るための健診をこの小さな診療所に受けに来たのだ。請負業者が健診料が安くて、いつ行っても引き受けてくれる診療所だと聞きつけたのだろう。半分以上が派手な入れ墨をしている。...

僕たちはこれを「入門健診」といって重視している。経費を浮かせるためにごくわずかな項目の健診でしかないが、この健診の受診者となる層にとっては貴重な、おそらく唯一の健診機会だからだ。

以前この種の健診で進んだ肺結核を見つけながらその場は帰宅させてしまい、後になって保健所の力を借りながらあちこち探したが、どんな方法でも連絡が取れず、半年後、激しいやせと長引く発熱のため急患で訪れた男に病院の暗い待合い室でついに再会したことがあった。やっと、つかまえたという安堵と、だが助かるのだろうかという不安が交差した。

今日のみんなは20歳代の若者で体も大きく、僕も少し緊張せざるをえなかった。

だが、丁寧に診察して問診を詳しく取ると、こちらが困るくらいに敏感に反応して、質問してくる。
入れ墨はレントゲンに映るか、勧められているインターフェロン治療の副作用は何かなどなど。そういう限りでは素直な子供めいている。

あの若者たちを健康権のために闘う当事者にするには、これからどれだけの努力が必要なのだろう、よほど本気で取り組まねば何もできないままだろう、などとあれこれ思いながら、診療所から病院に帰った。

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