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2013年10月14日 (月)

日本医事新報2013年9月特集号「二人三脚 糖尿病診療」・・・健康の社会的決定要因SDHの視点がすっぽり抜け落ちている。行動科学でSDHを置き換えることは出来ない

最近糖尿病の勉強から遠ざかっていたので、つい読んでみる気になったが、面白くて、当直に入る直前の午後5時から読み始めて午前3時に読了してしまった。

「二人三脚」とは患者と医師が一体になって前進するという意味である。その意気や良し。

この特集の特徴は何んといっても、患者指導に関わる系統的な17事項について、項目毎に患者説明の失敗例と成功例をあげ、エビデンスを踏まえた説明を加えるというスタイルを貫いていることである。

僕自身を振り返れば、外来の大半は失敗例に相当する。エビデンスを踏まえた説明は、分かりやすいが最新のものである。

この特集は、糖尿病を専門としない医師や看護師の目のうろこを落とすためにあると言ってよいだろう。

なかでも次の2ヶ所は深く心に残った。

40ページ:『2012年に米国と欧州の糖尿病学会が共同でステートメントを発表し、糖尿病の治療は patient-centered approach すなわち患者中心の治療を行うべきであると提言している。これは患者の様々な状況を取り入れて、血糖コントロール目標を個別に設定することと、血管合併症の危険因子を包括的に治療することを意味する。』

49ページ:『食事指導にとって最も重要なことは「知識」ではなく「患者に対するスタンス」なのである。つまり食事指導を、医師が”糖尿病に不可欠な基本的な構え”を身につけるための訓練の場と捉えてみてはどうだろうか』

ただ、読み終えてみると、患者の捉え方がいま一つ中途半端だということに気づく。

医学・生物学・心理学的(行動科学的)ではあるが、医学・生物学・心理学・社会的でない。

患者の社会経済的側面に言及した筆者が一人もいない。

今、民医連が重視している臨床技法から言えば、健康の社会的決定要因SDHの視点がすっぽり抜け落ちているのである。行動科学でSDHを置き換えることは出来ないことははっきりしている。

それでは、本当に糖尿病患者の治療を含めた健康全体が改善するうえで最も重要な戦略を欠いていることになる。

この特集でも「患者中心の治療」を唱えているが、患者中心とは「健康の社会的決定要因SDHという縄」で足を結びつけた「二人三脚」だということを僕たちは声を大きくして主張しなければならない。

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