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2013年10月16日 (水)

民医連に働く医師こそ、貧困をはじめとする健康の社会的阻害要因の最もまじかにいて、その影響や克服を、コホート研究として明らかにする上では最も有利な位置にいる・・・雑誌「月刊地域医学」2013年10月号 柳川洋氏インタビュー「臨床と疫学の連携で医療の質の向上を」

一部 野田改変

859ページ

山田:現場では日々の診療だけに没頭して、たとえば脳卒中の患者さんの初期治療やリハビリがその後の経過にどういう影響を及ぼしたかを検討するなどの、自己の医療活動に対する評価がおろそかになりがちです。

柳川:自治医大=JMSコホート研究はそれに対する一つの答えではないか。全国12か所の地域で、1万人を超える人たちを対象に、虚血性心疾患と脳血管疾患の発生と予防効果を判定するコホート研究が進んでいる。

山田:このコホート研究は、自治医大卒業生が勤務している離島やへき地を舞台にしているだけに、人の出入りがほとんどなくて理想的なシチュエーションで行われている。自治医大の卒業生はまたとないコホート研究のフィールドにいる。そうなのに、コモンな病気を相手にしている日常にはあまり学問的な価値がないと誤解していることが多い。

柳川:自治医大の卒業生は、診療と研究を一体化して、かつ、そこに地域住民を巻き込んで行くことのできる立場にある。ぜひそれを活用してほしい。

山田:ただし、そこからでて来る研究は視点が非常に優れているのに、研究の形としては未熟であることが多い。それをサポートするセンターはすでにある。

柳川:中身は非常に充実しているのに形式的に慣れていない、そういう論文をぜひ注目を浴びるものに仕上げてあげたい。

これを読んで痛感したことがある。

民医連に働く医師こそ、貧困をはじめとする健康の社会的阻害要因の最もまじかにいて、その影響や克服を、コホート研究として明らかにする上では最も有利な位置にいる。

研究テーマを住民=共同組織の人々と共有できるなど、世界中のどの医師もまねできないことだ。

問題は、民医連医師のそのことへの自覚だろうし、自覚して足を踏み出しても未熟になってしまう研究を形あるものにするサポート体制だろう。

学術委員会や研修支援センター「イコリス」がもっと本格的に活動しなければならない。
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