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2013年7月27日 (土)

医療生協のワーカーズ・コープ化は進行中だろうか?・・2013.7.27医療生協理事会挨拶

土曜日の当直前の午後半日かけて、医療生協の定例理事会に出席。その時の理事長挨拶は後の方に添付するが、それとは別に、討議の中で面白かったのは、医療生協の組合員、出資金の延びが鈍っているのをどう打開するかである。

これだけ長期に賃金が低下して行き、患者・利用者も貧困な一人暮らし、二人暮らし高齢者に集中していく情勢のなかで、地域住民からの増資が期待できないのは当然ではないだろうか。

もちろん、日本共産党の躍進などによって政治経済情勢の抜本的改善が先行すれば、医療生協も大きくなるだろう。しかし、それは別種のトリクル・ダウン理論のようにも思える。

そこで、僕が考えたのは、医療生協の事業拡大と雇用の先行による職員の出資増が現時点の中心課題なのではないかということである。

民医連の職員数も一時3万人と言っていたのに、今や10万人を超える。

自らの力による雇用の拡大こそが医療生協運動の発展の最大の道筋だということになる。それは、消費生協法下の組織であるはずの医療生協の今後の展望は、労働者協同組合化、ワーカーズ・コープ化だということに他ならない。

そういうことを、住民組合員が圧倒的な数を占める医療生協理事会で発言するのは、どうかと思ったが、現状の正確な理解が第一と考えて発言した。

さすがに、専務理事は、地域での組合員拡大、増資の手を緩めることはできないと反論してきたが、彼が述べた出資金の現状は、この1年間の増資の2/3がすでに職員によるものとなっているということだった。

すでにその程度には労働者協同組合化が進んでいるのである。

僕の認識はむしろ、現状の後追いにすぎなかったのだ。

非営利・協同セクターとしての医療生協の雇用能力の拡大こそ、実は時代を切り拓いているのだ。

2013.7.27  理事会挨拶                            

 総代会のあと最初の理事会ですが、猛暑の中ご苦労さまでございます。

721日の参議院選挙が終わりました。総選挙に続いて自民・公明が大きく伸び、民主が惨敗という結果でした。ただし、共産党が比例区5人、選挙区3人当選という躍進を遂げ、自民・公明の悪政をストップする主役に躍り出たことは私たちの心を明るくする側面でもありました。

私が注目するのは、最近の幾つかの選挙において、日本共産党が医療福祉生協連にも山口民医連にも政策的な一致点での協力協同を申込み、それぞれの団体がそれぞれの条件の中で政治的な自由を厳密に守りながら、しっかり考えて必ず投票に行こうと構成員に知恵を絞って呼びかけるというスタイルが出来たことです。(資料1、2)

私は今必要なのは、日本共産党などの革新政党が選挙で伸びることを超えて、もっと日常的に「いのち・福祉・平和」の『国民連合』が、政治、経済、生活の各領域で幅広く結成され、活動することだと思っているのですが、この選挙でその方向がさらに一段明確になったと思っています。

ただし、選挙の前の78日は10基の原発再稼働申請が出ていますし、723日にはTPP交渉に日本が正式に参加しました。自民党改憲草案の正体が何であるかの究明も深まっています。51日に石破自民党幹事長が、出撃命令に従わない国防軍兵士は死刑にするつもりだと語っている模様はネットでも広く知れ渡りましたが、それが訂正されたと言う話はありません。

また、726日の報道では、政府の社会保障国民会議の報告書素案で、「要支援」を介護保険給付から外す方向であることが明らかになりました。アベノミクスの下での社会保障削減がいよいよ明確な形を取ってきました。(資料3)

選挙後の情勢はそのように極めて緊迫しております。今期理事会の任期もあと1年足らずになりましたが、残りの期間全力で医療と福祉と平和のために奮闘することをこの理事会で確認したいと思います。

最後に、私が最近読んだ本のご紹介をしておきたいと思います。

堤 未果「()貧困大国アメリカ」岩波新書がお勧めです。

718日にGM、クライスラー、フォードを抱えるモーター・シティであるアメリカ・デトロイト市の破産が報道されましたが、デトロイトの様子も167ページ 第4章「切り売りされる公共サービス」で詳しく紹介されています。

デトロイトは最盛期180万人の人口があったのに、現在は70万人となり、市全体が廃墟の様になっている様子が、グーグルマップというネット上の地図で克明に読みとれます。そのなかで自動車産業だけは政府から手厚く保護され、市の中心部のみは栄えています。

破綻後は、おそらく市政府の統治機能が株式会社に委譲され、公共財産が安く企業に売り払われ、一切の所得再配分がなくなり、金持ちの税金は金持ちのためだけに使われ、貧困者には貧困者自身が払う税金しかあてがわれないということにして、財政が再建されるのでしょう。

またアメリカにはALEC「米国立法交流評議会」という半秘密組織があって、そこでは大企業が地方議会を丸抱えし政策作りを代行し実行させています。フロリダで全く無実の黒人少年が白人中年男性に射殺されたのに、加害者が無罪評決を受けたことにアメリカの多くの黒人が憤り、オバマ大統領さえも、自らの人種差別体験に触れた発言をしたという報道が720日にありましたが、この評決の根拠となったフロリダ州法の「正当防衛法」は、ALECが全く同じ文章で32の州に成立させていたものなのです。

これがアメリカの到達しようとしている社会であり、安倍晋三首相が2013218に「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指します」と発言したその国の具体像だと思います。

読んで損はないと思いますので、ご一読をお勧めします。時間のない方のために、詳しい読書ノートを資料4として添付しておきます。

以上で、私の挨拶を終わります。今回は今年度の医療生協の活動の在り方を再度深く検討する議題が並んでいますので、熱心なご討議をよろしくお願いします。

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