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2013年6月11日 (火)

ある訪問

1年前、中国地方の肺癌のセンターになっている山口宇部医療センターに紹介した僕と同い年の患者さんが、突然外来受診してくる。

長い高血圧の治療経過途中に肺癌を発見したのだった。
ふと身構えて、カルテをよく読み直して診察室に招いたが、格別の用事ではない。

明日再入院することを伝えたかっただけとのこと。

忙しい急患外来なのでそれで終わったが、御本人にとっては格別の用事だったのではないかと後で気づいた。

帰る時は脱毛した頭をなでて声をあげて笑っていたが、来室してすぐに「リンパ節の転移が見つかったので」と言った時はどういう表情をしていたのだろう。

僕はそれを見逃した。

不全感だけが降り積もる日々である。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。木下ちがやさんとの討論が面白かったので、いろいろ読ませてもらいました。
私は赤旗日曜版の記者ですが、民主文学にも評論を書いてます。
詩人会議に詩を書いているとのことですので、あとで読ませていただきます。医師としての社会や組織への発言に触発されるものがありました。
宇部と小野田に去年ルネサスのリストラの取材にも行ったので、親近感をかんじたので失礼ながら投稿させてもらいました。

投稿: 北村隆志 | 2013年6月15日 (土) 18時16分

北村様、コメントありがとうございました。以前にわりと長く「民主文学」を購読していましたのでお名前は存じ上げています。これからも宜しくお願いします。

投稿: 野田浩夫 | 2013年6月16日 (日) 19時17分

先日、京都で北海道勤医協の看護部役責研修の取り組みを学ぼうと、野田先生の講演資料を基本に「健康権健康権を学ぶ~自己責任論と対峙する民医看護~」として主任研修を開催。研修会の余韻が新鮮な今日、”静かな日”を初めて訪れました。
共感できる内容に楽しく読んでいくなか、この”ある訪問”で涙が出て止まってしまいました。
ありがとうございます。小さな小さな針でも地に立って居る事が出来るよう、 ブログの常連さんになると思います。

投稿: | 2013年12月14日 (土) 10時04分

つたないブログに目を止めてくださり、ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。

投稿: | 2013年12月17日 (火) 20時04分

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