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2013年6月14日 (金)

医療安全の別の課題

「過ちは人の常To err is human 」(この古語英語が聖書の言葉だと最近知ったのだが) が常識化されて、医療事故はヒューマンファクターによることがほぼ確立した。そして、医療行為のなかのコミュニケーションを磨くことが懸命に教育されている。

それはそれでいいし、当面それが医療安全の主流になるのも納得できる。

しかし、視点の枠を変えると、全く別の課題が大きく浮かび上がって来ているような気もするので、記録しておくことにしよう。

それはニ、三の極めて卑近な観察によるのである。

①出張のため乗った飛行機のなかで見聞した小事件。

なぜか色をなしたサラリーマンがアテンダントに席を変えろと交渉して、アテンダントは客の荷物を移動し始めたのだが、移動先を示された客は立ち上がると、前の席の客の耳元に屈みこんで何か一言、二言言ったかと思うと思い切り座席を蹴り上げたのである。

前の座席の客が急にリクライニングを倒したのが気に入らなかったらしい。席を蹴り上げられた客は首筋をさすっていた。これは着陸後は刑事事件になるだろう、と思えた。

患者間のトラブルは医療安全の問題と捉えられているだろうか。おそらく小中学校の安全問題の第一はいじめの予防、早期発見、早期対処になっているのだろうが。

②僕自身を襲った小事件。

新患に近い患者さんの症状が従来服用していた薬の副作用の可能性もあるので、薬の変更を提案したところ、患者が突然に激怒して手がつけられず、僕の個人攻撃にも及んだ。あまりのことに僕も激昂してしまい一人では対処できなくなった。

あとで考えると、前頭葉側頭葉型認知症の患者さんだったと思えた。おそらく、社会生活のなかで様々な摩擦を起こしていると思えるが、独居で、ある程度年金収入が多いので顕在化していなかったのだ。

今後、この種のコンフリクトは激増するのだろう。この人が事件の被害者になること、僕が思わぬきっかけで加害者になることを防がなければならない。

③ 最近報道された埼玉県の特別養護老人ホームでの連続虐待事件。厚生労働省の調査によると介護施設利用者・家族から虐待の相談は2011年687件で、前年度比50%増である。今後、この種の事件がどんな病院や施設でも身近になるだろうということは相当確実な予感である。

以上のことを並べて、さて、僕は何が言いたかったのだろう。

おそらく、医療の安全のブレークスルーが一応成し遂げられて、あとはそれを精密化するだけと思えて来たところで、医療の安全が社会生活と地続きであることを、改めて見直さなければならないということなのだろう。

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