« 「ケアの倫理」VS「正義の倫理」理解の糸口だろうか? | トップページ | 「-伝導ベルトとしての中間団体」という考え方をどう改めるか・・・「世界観・人生観を含め、社会の広い合意形成を作り出す共同討議・熟議の場を作り出す」役割 »

2013年6月24日 (月)

雑誌「季刊atプラス16(思想と活動)」太田出版2013;第2特集 孫崎享・白井聡 対談「日米関係の正体」

いつものように雑誌の実物を手元に置かないで書く勝手な感想。

雑誌「季刊atプラス16(思想と活動)」太田出版 の孫崎享・白井聡対談「日米関係の正体」を昨夜、東京都議選の開票を待ちながら読んだ。

このブログでも触れた「未完のレーニン」や「物質の蜂起」を書いたユニークなレーニン論者白井君の新刊「永続敗戦論」はまだ購入できないでいるし、孫﨑氏の本はベストセラーになっているので敬遠中。

・・・というわけで、この対談について触れる資格がないのだが、読んでいて勝手に考えたことだけを記録しておくことに。

「普天間を最低でも県外に」とごく正当なことを主張した鳩山首相を「宇宙人」とかという言葉で呼んで嘲笑し続ける世論に僕は反発していたが、白井君はそのことの不当さをきちんと発言している。

岡田外相と北沢防衛相が早々とアメリカに屈服させられたのに、鳩山は1年近く持ちこたえた。彼の敗北宣言だった「沖縄における米軍の抑止力について学んだ」という奇妙な発言こそ、深読みすべきだったのだと。

僕が思うに鳩山を折る密命をアメリカから与えられたのはおそらく菅首相である。その証拠は首相になるや唐突にTPP参加を言い出したことである。

白井君の言うように、TPPはアメリカの暴力性の露呈以外の何物でもない。菅のTPP参加発言はアメリカのエージェント(代理人)となったことの宣言だったと思う。

しかし、その菅も、福島原発事故に直面して脱原発を決意したことから、アメリカから切られ、日本世論の袋叩きにあう。「あんな人が首相だったとは信じられない」風の人物評価を押しつけられる。

菅を切ることを命じられたのは野田首相だったが、その勢いのよさにも拘わらず、今度は民主党の政治の下で復興も進まず、生活が苦しくなるばかりの庶民の世論が彼を見捨てる。そういう人物はアメリカにとっても利用価値はない。

そこで安倍首相が登場するが、彼が踏む地雷は円安と尖閣諸島になるだろう。アメリカが許容できない円安閾値と言うものがあるに違いない。そこを超えるか、尖閣で起こる中国とのいざこざが、米中関係を悪化させるか、米軍兵士の生命に関われば、1945年当時の連合国意識が復活し、安倍は見捨てられる。

もちろん、その次のアメリカの代理人は列をなして出番を待っている。

白井君が対談の最後に提示する、「アメリカの属国から日本が逃れるには、中国が欧米列強支配から脱して独立国になるのに必要だった位の努力と時間が必要なのではないか」という主張には全面的に賛成だし、その可能性を考えると勇気も出てくる。よほど腰を据えてかからねばならない仕事である。

ついでに、いつももっともらしい顔をしてTVに出てくる岡本行夫について、彼の主張は政権が日本を上手に属国にしきれないことの批判ばかりだが、それでも日本をアメリカの一州にしてもらうという彼にとって筋の通る主張までに踏み込まないのは、そうなれば日米外交と言うものが無くなり、外交評論家として自分が失業するのを恐れているのだろう、と言っているのは無類に面白い。

|

« 「ケアの倫理」VS「正義の倫理」理解の糸口だろうか? | トップページ | 「-伝導ベルトとしての中間団体」という考え方をどう改めるか・・・「世界観・人生観を含め、社会の広い合意形成を作り出す共同討議・熟議の場を作り出す」役割 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 雑誌「季刊atプラス16(思想と活動)」太田出版2013;第2特集 孫崎享・白井聡 対談「日米関係の正体」:

« 「ケアの倫理」VS「正義の倫理」理解の糸口だろうか? | トップページ | 「-伝導ベルトとしての中間団体」という考え方をどう改めるか・・・「世界観・人生観を含め、社会の広い合意形成を作り出す共同討議・熟議の場を作り出す」役割 »