民医連は良心的・総合的な地域医療をめざす統一戦線なのか、「 新しい福祉国家」を推進する活動家集団なのか、現状維持を当面の課題とする経営体連合なのか
民医連が医学生のなかからどうすれば医師後継者を獲得していくかという問題が難しい壁にぶつかっている。
自治医科大学系の地域医療振興協会が「日本の僻地医療を担う」「僻地医療を担うことが総合診療医になることの最善の道だ」「なるべく多くの医師が僻地医療に触れる場を作ることも自分たちの使命だ」ときわめてクリアカットな姿勢を示しているのと大違いである。
民医連医師の多様性、あるいは民医連加盟事業所の多様性ということがこの困難の背景にある。それは、本来は強みだが、今は弱点だ。
その多様性はごく大まかに分けて、「公正と正義にもとづいた新しい福祉国家を作ろう」という明瞭な目的意識を持った活動家、良心的・総合的な地域医療のなかに身を置きたいと思うリベラルな人たち、全国で現実に動いている病院だけでも150を超える事業所群の順調な稼働のため雇用されているという普通の人たちという3種類であり、現在の経営幹部からみれば最重点は最後のグループの維持にあるのである。
僕にとって一番大事なことは「公正と正義にもとづいた新しい福祉国家」に至る道筋の鮮やかな提示だ。それがまだ十分にできないということが弱点だと考えている。
しかし、組織として最大の課題は、圧倒的多数を占めるただ就職したというだけの人たちが、良心的な医療や自らのもつ幅広い成長の可能性に気付くことである。そういう意味では、民医連はそういう人々の集まる統一戦線なのである。
繰り返しになるが、問題はそれに成功したとしてもなお訴求力が弱いことである。
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