« 2012年12月総選挙の本当の教訓 | トップページ | 池澤夏樹「氷山の南」文芸春秋2012 »

2013年4月 8日 (月)

「ワシントンの地下鉄を1Km進むごとに平均寿命が1年長くなる」・・・1枚のプレゼンテーション用スライドができるまで

ふと思い立って、マイケル・マーモット「ステータス症候群」日本評論社2007年を再読し始めた。

繰り返し読んだ本だが、新しい発見がたくさんある。

さっきまで 3ページの次の記述を追いかけていた。

「ワシントンのダウンタウン東南部からスタートして、メリーランド州のモンゴメリー郡まで乗車してみるがいい。地下鉄で1マイル(約1.6Km)進むごとにその地区の平均寿命は1.5年づつ長くなっていくのだ。乗車した所の貧乏な黒人と下車した所の裕福な白人では、なんと平均寿命が20年違う」

まず、ワシントンDCのメトロの地図を探す。http://www.worldmapfinder.com/Wiki_Contents.php?ID=/Jp/North_America/United_States/Washington_DC/Washington_Metro

(拡大しないと読めない)

だが「ワシントンのダウンタウン東南部」がどのあたりか見当がつかない。

そこで「ワシントンDC サウスイースト」で検索して

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1182349561

「まずホテルですが、空港近くのホテルの方を強くお勧めします。そのエリアは特に危険はありませんし、ダウンタウンに出るのも便利です。もう1つのホテルがあるNaylor Road駅というのはDCのサウスイーストエリアで、1番治安の悪いエリアです。特に、その地下鉄(グリーンライン)で中心部に向かう途中にあるAnacostia地区は最も危険とされていますので、そのラインを使うこと自体不安がありますね。」

という記事を探し出す。地図を見ると緑色の路線のNaylor Road、あるいはAnacostiaという駅が確かにある。ここが東南部 サウスイーストの出発地点らしい。

それから、終着点であるメリーランド州モンゴメリ―郡を検索すると

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%93%E3%83%AB_(%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E5%B7%9E)

という記事があり、ロックビルRockville)が中心地だということが分かり、地下鉄ではレッドラインの終わりの方にあることを発見する。地図の上でも確かに存在する。

大都市ワシントンを正方形として、左上(北西)から右下(南東)に引いた対角線の端と端に、高級住宅地Rockvilleと、最危険地帯Naylor Road、Anacostiaがあることになる。乗り換えはあるが確かに地下鉄でほぼ直線状につながっている。

この間で1マイルごとに平均寿命が1.5年違い、出発点と終点では20年違うということだが、これでは分かりにくい。

ここは次のように言い換えた方がよく分かる。

「ワシントンの地下鉄で20Km離れた2地点、貧困な黒人地域の駅から富裕な白人地区の駅まで地下鉄で行くと1Kmごとに平均寿命が1年づつ違うので、乗車した所と下車した所では20歳の平均寿命差がある。」

これで、「健康権・健康戦略・SDH(健康の社会的決定要因)」のプレゼンに1枚のスライドを新たに付け加えることができた。

こうして、スライド1枚1枚ができて行くので、1時間プレゼンテーションするとなると、気が遠くなるほど時間がかかる。

しかも、それはオリジナリティーの乏しい解説にすぎないのだ。

|

« 2012年12月総選挙の本当の教訓 | トップページ | 池澤夏樹「氷山の南」文芸春秋2012 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「ワシントンの地下鉄を1Km進むごとに平均寿命が1年長くなる」・・・1枚のプレゼンテーション用スライドができるまで:

« 2012年12月総選挙の本当の教訓 | トップページ | 池澤夏樹「氷山の南」文芸春秋2012 »