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2013年3月11日 (月)

ヘルス・プロモーションの概念図(島内憲夫氏作成)の若干の誤り

3月10日に開いた宇部の医療生協学校「健康権」の講義の資料作りの中で気付いたこと。
わかりにくいことだが、早く発言しておきたくてここに書いてみた。

日本ヘルス・プロモーション学会の概念説明のページ
http://www.jshp.net/HP_kaisetu/kaisetu_head.html
島内憲夫順天堂大学の有名な図だが、これは一部誤っているので書き直さなくてはならないということである。

ここで人間が押している大きな球が「健康」とされているのが第一の誤りで、これはその人に担わされた個人レベルの健康の社会的決定要因SDH、詳しくいえば「媒介要因としてのSDH」だとしなければならない。

このときSDHは「健康の社会的決定要因」と中立的に表現されるより「健康剥奪あるいは阻害の社会的要因」と否定的に表現されるほうが分かりやすいことは以前にも書いたことがある。

そして人が登って行く坂道の勾配が社会レベルのSDH、詳しく言えば「構造要因としてのSDH」だ。

ちなみに2010年のWHOは構造要因としてのSDHを「健康『格差』の社会的決定要因」という用語で表現している。
すなわち、「健康『格差』の社会的決定要因」=構造要因 → 「健康の社会的決定要因」=媒介要因(これがよく言われるソリッド・ファクツ) → 「健康格差」  という経路が、社会格差と健康格差の(相関関係を超える)因果関係を説明する経路だと考えられているのである。

したがって、坂道の勾配を緩やかにしようとするのが、ヨーロッパ型のヘルスプロモーションと説明するのは第二の誤りで、ヨーロッパ型に代表される新しいヘルスプロモーションは、人間が押す大きな球と坂道の勾配の両方を解消しようというものでなければならない。

これに対しアメリカ型のヘルスプロモーションは、図に描かれた人間の筋力を鍛えようとするものに過ぎず、それをエンパワーメントと呼んでいるのだが、それはこの図には表現されていないとみるべきである。

そこで結論として、この図は、この3点を修正するよう書き直されなくてはならないということになる。

*その後、人間が押していく大きな球を、健康の社会的決定要因の媒介因子部分(直接的に個人に関わってくる部分、ストレスを生むもの)、登る坂道の勾配をその構造因子部分部分(直接的に個人に関わってくる部分の存在を背後で決定している社会的構造)という考え方の妥当性を何度か確認しているうちに、その関係は、やはり、この図では表現しきれない、この図の説明力の限界を明瞭に感じた。

誰かが、もっといいい説明図を考案しないといけない。

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