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2013年3月30日 (土)

3月の医療生協理事会での挨拶

すでに一度このブログに収録したノートの繰り返しでしかないが記録のため、収録しておくことにした。

こういう形になったのは、今朝、小野田診療所勤務だということを忘れて寝過していたからである。土曜の朝、ゆっくりと挨拶の文章を練ろうと構えていたのに、電話で叩き起こされた。5分でシャワーを浴び着替えて、結局定刻より45分遅刻で診療所に到着したのはまずかった。おかげで挨拶は過去のノートを何とか編集するしかなかった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 「桜が満開になって、絶好のお花見日和ですが、会議参加ご苦労さまでございます。

あさってから2013年度の始まりということもあって、今日は情勢を大きく俯瞰的に眺めておきたいと思います。ちょうど雑誌「」の4月号に、渡辺 治さんの論文が掲載されていますので、それをかいつまんで御紹介しておきます。(資料1)

三つの部分からなっていまして、第一は安倍政権論、第二が新自由主義・改憲を阻む国民運動論、第三がまとめという構成です。

Ⅰ 安倍政権論

1 安倍政権の政策には三つの柱があるとされます。

   構造改革路線の再起動。ただし、小泉流でなく、福田・麻生に似た漸進路線=これをマスコミが「アベノミクス」と呼んで持ち上げているのは御承知の通りです。

公共事業への大規模支出のための財政出動で景気回復演出するが、お金のばらまきすぎで消費税増税が20154月からの10%では到底足らなくなり、いっそうの消費税率アップと社会保障の残酷な切り込みが不可避になる。「社会保障は自助、互助、共助、公助のミックス」だという定義のもとで、公的責任を思い切り縮小する。いま大問題となっている生活保護費削減もその一歩に過ぎない。

日本の輸出大企業の市場作りのためにはTPP参加と原発輸出を二本柱として約束しています。原発再稼動はどうしてもやるというのは原発輸出の前提です。

(*ここで、雑誌「世界」4月号に掲載されていた鈴木宣弘さんの 「最悪の選択肢・TPP  許しがたい背信行為 この国に未来はあるのか」という論文からのメモも併せて添付しておきます。

○自動車については、すでにゼロ関税の日本市場なのに、「米国車の最低輸入義務台数を設定しろ」と日本政府は米政府に要求されているが、ひた隠しにしようとしている。こうしたことが、TPPの「頭金」でこれらを履行したとき、ようやくTPP参加が認められるという筋書きである。

○逆に、米国の自動車市場には2.5%の関税があるが、10年近い猶予期間を米国側から要求されている。

○スティグリッツは「TPPは1%の1%による1%のための協定」だと言っている。

TPPで人口8千万のベトナムへの投資が自由となれば、日本の国内雇用はさらに激減し、国内産業は一層空洞化する。これはアメリカも同様で、アメリカの世論調査でも69%がTPPをやめてくれと言っている。

○米国企業が自己の利益確保のため日本政府を訴えることのできるISD条項は「学校給食に地元の旬の素材を使いましょう」ということにも及ぶ。農業も食の健康も、教育もこうして破壊される。

○遺伝子組み換え植物の安全性はアメリカが認めているので、わざわざその表示をする必要はないということが押し付けられる。その結果は、遺伝子組み換え食品が主流となり、食物の安全が無視されるというだけでなく、農家がその植物の種を自家採取することができなくなり、米国の農業会社から全部買わされるということである。これにより、インドの農村の自殺率が上昇している。

2011.12 米国の公聴会で、日本が不透明な理由で米国農産物の締め出しをしていると米国政府が日本攻撃をしている。

TPPで日本が得られる利益は、アジア内のどのような二国間FTAより少ない。どの官庁もメリットを示そうと試算して失敗している。)

   米国追随の軍事大国化再起動。

これは矛盾に満ちた作戦になっています。

財政困難で防衛費も削減しなければならないアメリカからの軍事分担要求のため、オスプレイも購入する計画で、11年ぶりの防衛費拡大としました。解釈改憲で集団的自衛権容認、海外派兵の道づくりもする。それに尖閣、北朝鮮問題を利用。しかし、尖閣問題の激化はアメリカの中国包摂戦略には都合が悪い。

③新自由主義による競争激化で格差・貧困が増大して分裂した社会に対し、「新保守主義」での国民再統合を図る

しかし普通にいう新保守主義(*=佐伯啓思らのコミュニタリアニズム)の反グローバリズム、反新自由主義という路線はとれない。そこで天皇の元首化や家族を強調し、学校のいじめ問題を利用しようとします

厚生労働省が、健康格差に言及し、ソーシャル・キャピタル強化を言うのもこの一環かと思える。

**大阪の橋下は新保守主義による社会統合という視点を持たず、競争美化一本槍である。

 2 上記三本の柱の総仕上げとして改憲戦略があります。

 改憲解釈による自衛隊海外派兵と9条改憲という二段階戦略です。9条明文改憲は現在の政治的な力では実現できないとしても、96条改憲は実現して道を開くつもり。公明・民主は9条改憲には慎重だが、96条改憲には賛成するだろうという見込みがそこにはあります。

Ⅱ 新自由主義・改憲を阻む国民の運動

1 この間の運動の二つの教訓

①革新・「リベラル」を含んだ大きな国民的連携の可能性

 ←沖縄、被災地、東京の革新統一志向地域(中央線沿線)での前進からの教訓

   構造改革で経営を破壊されながら、なお保守に依存している層との連携の必要性

 ←東京都知事選で、共産党が強いはずの東京の下町での伸び悩みからの反省

2 幅広い国民の連合の展望

   原発、TPP、消費税などでの一点共闘をつなぎ合わせていく

ここではちょうつがいの役割を果たす、政党や組織の重要性が強調されています。

 

改憲反対では独立したより大きな国民の連合がもう一つ必要

そこには二つの要素が必要だとされます。

ⅰ)九条の会のような、個人的で、ゆっくりと広い主題で学習会を積み上げてゆく運動

ⅱ)情勢変化に機敏に対応する政党、団体の運動・・・これを九条の会に期待すると、九条の会の幅が狭くなり、その民主的運営も壊される。九条の会とは別にそういう部隊をつくらなければならないと渡辺さんは言っています。

Ⅲ まとめ

安倍政権は日本における新自由主義の第3段階だということがまとめられています。

先行する①橋本・小泉政権や②麻生・福田・民主党政権のどちらとも違い、A斬進的新自由主義、B軍事大国化、C新保守主義という、(*)戦略の組み合わせを特徴としている政権だということです。

その路線は相互矛盾・内部矛盾の多いものですから、これに対抗する幅広い国民的連合を作ることができれば新自由主義と軍事大国化を終わらせることが可能です。その第一歩が夏の参議院選挙です。

渡辺 治さんの論文にまとめられた情勢はそういうことですが、夏の総選挙に焦点を合わせて、それから逆算して様々な行事が選挙と結びつくように理事会としては考えていかないといけないと思いますが、皆さんのお考えはいかがでしょうか。

◎さいごに、この間の報道で、高齢者の集まる場所づくりというテーマで参考になったことを挙げておきたいと思います。

一つは大阪市阿倍野区の商店街にある高齢者の喫茶店の記事です。

資料2

100円でなんでも飲み放題の喫茶店ですが、ガラス張りにして誰が来ているかがわかれば人が入ってくるという建築士の発言が印象的です。

健文会で、商店街にこんな一角を借りて、市内の高齢者に利用してもらうことはできないでしょうか。ちなみに大阪市阿倍野区名物のお好み焼きがアベノミックスと言われます。

もう一つは、かって民医連の歯科医師 吉田万三さんが区長になったこともある東京都足立区の高齢者入浴事業です。資料

3100円で入浴できるという足立区独自の施策で利用者がどんどん増えているとのことです。

月一回、すごく安い値段で入浴と食事の会を開くというのは医療生協でもできない話ではない、と思います。

介護保険外で医療生協ならできる小規模事業について前回からいくつかのアイデアを御紹介しています。検討していただければ幸いです

以上でご挨拶を終わります

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