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2013年3月 3日 (日)

雑誌「治療」2013年2月号 特集「在宅医療の極意」

とりあえず、目についた表現をピックアップしてみた。

長野・佐久総合病院・藤井博之先生の文章は含蓄深く、お勧めだ

①葛谷雅文「高齢者総合機能評価」
高齢者医療のゴールは高齢者のQOLの改善にある。高齢者総合機能評価CGAは、あらゆる手段を介して高齢者のQOLを改善させる手法である。

②苛原 実「認知症の在宅医療」
アルツハイマー型認知症ADは脳の変性疾患であり、10~20年の経過で認知機能、身体機能の低下が進行し、最終的には嚥下反射が無くなり死亡する病気である。

③田島和周「難病の在宅医療」
癌終末期の在宅医療はⅠ-2ヶ月間と短いが、難病の在宅医療はそれに比べはるかに長く、長期の緩和ケアという視点が不可欠である

④長尾和宏「最期までの支援の考え方」
在宅医療の目標は「QOL×寿命の最大化」である。
臨終の瞬間には医者などが大きな顔をして立ち会わぬ方がいい。それは家族や友人のものだ。死後に診察して死亡診断書を書いていいことを医師法20条が保障している。大抵の医師はここで勘違いして死後に診察する時は警察を交えた検死にしないといけないと思い込んでいる。深夜などは家族から死亡したとの電話を受け、朝になってゆっくり診察に行く「電話看取り」を積極的に進めるべきだ。

⑤和田博隆「在宅医療における訪問看護師の役割」
2012年の介護報酬改定は「定期巡回・随時対応訪問介護看護」と「複合型サービス」の導入により訪問看護師こそが今後の在宅医療の主役であることを明らかにした。訪問看護師を大量に養成する必要がある。

⑥保田淳子「在宅医療における福祉用具活用のコツ」
ケアマネや福祉用具専門相談員など一人、二人の判断で福祉用具選定をしている現状から、福祉用具活用の専門チームが地域に確立されなければならない。

⑦川﨑浩二「退院支援と医療連携」
長崎大学で、大学側からネットワークを作っている活動の報告。あじさいネットという、診療所、調剤薬局からの申請で情報提供病院のカルテ情報が閲覧できるITネットワークサービスを作った。

⑧藤井博之「在宅リハビリテーション PT・OT・STに何をどう依頼するか」
社会的役割を失うことによって「起きる気もしない」状態に至った高齢患者や、みずからの積極的な生活経験から訓練や福祉用具を拒否している人の主張の合理性を理解して先に進まなくてはならない。

○リハビリの長期目標を立てるコツ:患者に「この病気がなかったら、家族や友人の為に何をしたいですか」と聞くこと。

○セラピストに依頼すべきは、彼らが訓練する1週間168時間のうちの1時間の治療計画でなく、残り167時間の過ごし方への助言である。

○医師はセラピストに任せきりにせず、適当な方法でモニタリングし、セラピストにフィードバックする義務がある。それがないといい加減なリハしか行われないことも多い。

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コメント

野田先生のブログ、やっと見つけました。
過分なご評価、感謝です。

投稿: 藤井博之 | 2014年10月 1日 (水) 19時13分

藤井先生、粗末なブログをわざわざ見つけていただいて恐縮しています。

改めて読み直すと、先生は本当に重要なことを臨床的なヒントとして述べていらっしゃいますね。

どうも、読書記録を残すと、安心してさっさと忘れてしまい、大事なことを逃してしまうという危険性を感じました。自分のブログを何度も読み返すといいのですが。

投稿: 野田浩夫 | 2014年10月 6日 (月) 12時52分

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