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2013年2月 6日 (水)

認知症ノート 2 :雑誌「月刊地域医学」2011年No2 特集「地域における認知症ケア」

いつものように○は僕の勝手な引用、◆は僕の感想である。

◎地域における認知症ケアの動向と展望(折茂賢一郎)

○居宅と施設の定義の変更が必要だ(・・・◆私は自宅と居宅を区別する必要はないと思っている。あえて自宅というのは財産権や賃借権のありかたを言っているにすぎない)

居宅(自宅)の定義:自分の生活の拠点、居場所、終の棲家(死亡する場所としてでなく、死亡まで生きるところとして)。したがって、せまい意味の自宅に限らず、老人ホームだって居宅である。

施設の定義:居宅に戻るために治療、リハビリ、調整を行う間だけ居住するところ

○へき地の診療所医師が足りないのは自治医大卒業生が増えて次第に緩和したが、いまはその診療所を支える拠点病院のほうが崩壊している。

しかし、その対策としていくら医学部の定員を増やしても、医学教育のなかで、従来型の医療モデルとは違う「生活を支える医療」、すなわち「生活モデルの医療」を教育しないと、地域で働く医師は増えない。

○医学教育の中で、国際生活機能分類ICFを良く理解して「参加」の概念が理解できたり、ほかの職種との協力に長けた医師を育てないと、「縛らない医療」などすぐにでも実現すべき患者の人権が守られないことになる。

○日本の認知症ケアの問題点

①診断があいまい

②国民の理解が低い

③治療薬が数種類しかない

④ケア法が乱立、どれを信じていいかわからない

⑤ケアマネジメントが、家族や地域を視野に入れたマネジメントにならず、ケアプランで終わっている

認知症の特殊性は、その症状を家族が嫌悪し、受容しにくいところにある(◆それはハンセン病や結核の比ではないだろう。AIDSに近い。しかし、医療従事者との交流によって、理性による受容をまずうちたて、さらに感情による共感に導くことは決して不可能ではない)

○認知症の問題行動BPSDの中心にあるのは不安なので、家族や地域の受容が最も大切

○その方向に、家族の歴史、地域の歴史を良く知って家族や周囲の人の受容の条件を整えるのがケア・マネジメント。今あるのはそれとは無縁なケアプランでしかない。

○認知症ケア法が、回想法だ、音楽法だと百花繚乱なのは、ケアの個別性が高いことの現れ。患者や家族の心の琴線に触れるケア法を試行錯誤の中で見つけ出さなくてはならない。(◆そのための方法論、すなわち、方法論を見つけるための方法論こそが求められているが、それは国際生活機能分類ICFにそった丁寧な分析なのだろう

◎認知症の診断と治療(鈴木孝明)

○中核症状のアセスメント 患者の自尊心を傷つけるかもしれない質問紙ほうでなく、オランダの医師グループが開発した、観察によって評価する方法OLDがある。

○レビー小体型認知症の睡眠障害(レム睡眠時の行動異常が特徴だが)ベンゾジアゼピンでなく、リボトリールやロゼレム(メラトニン受容体作動薬)がよい

○BPSDには、転倒のリスクを高めるベンゾジアゼピンは使わないほうがよい。しかし、非定型向精神薬リスパダールやセロクエルの使用は死亡率を1.6-1.7倍高める。定型的向精神薬セレネースも同様の危険性があるので、十分な説明が必要である。

◎認知症のケアマネジメントのコツ(山田 剛)

○一連のケアマネジメントプロセスの中で、初めに行われるのはインテーク=受理である。インテークとはケアマネと家族の最初の接触の機会である。

○インテークが終了するとアセスメントに移る。

○要介護者への支援

①ライフラインの確保

②排泄問題の解決

③周辺症状への対処

④財産の保全

○家族への支援

①精神的支援・・・これが虐待を防ぐ。家族による虐待には2種類あって、家族のストレスの蓄積によるタイプと、暴力が躾だという思考様式によるタイプである。後者は確信犯なので是正が難しい。前者は精神的支援で予防可能。

②レスパイト入所。

◎認知症のケア(松浦美知代)

ここでは、医師の太郎さんがアルツハイマーを発症する物語が使われている。

太郎さんは、スケジュール管理が出来なくなっていろいろ問題を起こす。それは最近の僕のことでもある。

当初はうつ病という自己診断をしていたが、かえってアルツハイマーと分かって安心した。

これは興味深い話である。医師としての長い滅私奉公生活から解放されて、たとえ病気によってであれ、日常生活に帰れるという安心感が生まれたのではないだろうか。

○太郎さんは老人保健施設に入所していろいろ向精神薬を投与されたがそれは症状を悪化させるばかりだった。

○そこで国際生活機能分類による情報整理シートで、Ⅰ健康状態①身体構造・心身機能 ②活動 ③参加、 Ⅱ環境因子と個人因子、Ⅲ本人にとっての困りごと Ⅳ 本人の意欲 を分析し、ケアの方法を探っていった。

そうすると、中核症状である失語が、施設職員、ほかの入所者との交流を妨げ、参加の障害になっていることが浮かび上がってきたので、言語を用いない視覚優先のコミュニケーションを採用し、同時に太郎さんが苦手のざわざわした環境を整備し、一人で何かに打ち込む環境を作る(◆私にもぜひ保障してほしい、お願いしますよ!!)と状態が安定し、向精神薬も必要なくなった。

◎認知症のリハビリテーション(秋元美穂)

○医療と介護の違い

病院では1人のセラピストは1日あたり8人の患者を担当する。

老健では、患者はセラピスト1人当たり25人になる、3倍である。

病院では入院患者に対し、最大で週6日、1日当たり180分の訓練を6カ月提供できる。

老健では最大で週3日、1日当たり40分となる。

○一方、老健では、全利用者に、食事や入浴と並ぶ必須のサービスとして1人の利用者に週2回、1回20分以上の個別リハビリを提供することが義務付けられている。

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