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2013年1月12日 (土)

「医事新報」2012年12月22日号二木 立「今後の死亡急増で『死亡場所』はどう変わるか?」・・・20年間で死亡増60万人・・・病院(34万人)+老人ホーム+老健(20万人)でその死亡増は十分引き受けられる・・・在宅死亡は増えないだろう

週刊医学界新聞 第3009号 2013年1月7日号の座談会「2025年の医療と介護 地域包括ケアの未来地図を描く」http://www.igaku-shoin.co.jp/paperTop.doは高齢者医療を考える上で必読である。

特に産業医大の松田晋哉教授が、介護予防事業対象となる前期高齢者の自立率において①自宅居住者60%、公営住宅教授者13% ②年収200万円以上者 71%、生活保護受給者 4% という驚くべき格差が存在することを、福岡県行橋市における実態調査をもとに示しているのは数字を記憶しておくべきである。

・・・記憶できない僕はこうしてメモ代わりにアップしているわけである。

それに加えて、雑誌「医事新報」2012年12月22日号の日本福祉大学 二木 立教授のたった2ページ(26-27ページ)の文章「今後の死亡急増で『死亡場所』はどう変わるか?」も高齢者医療を考える上で、発想の転換を促す重要な文章だったと思える。

簡単に紹介○し、私見◆を加えよう

○2010年に101.9万人だった死亡数が、20年後の2030年には161.0万人に増える。20年間の増え方で見ると59.1万人という数字は前期(1990年から2010年)の2.5倍。

これは周知の事実だが、2030年の死亡場所の割合の厚労省推計において病院でも自宅でもない人が47万人存在し、いまのところ行き場所がないというのは、決して確かな話ではない、というのが二木氏の主張するところである。

まず第一に前期20年間(1990年から2010年)に病床数は168→159万床と減少しているのに病院死亡は59→93万人と約60%も増加した。そのために病院1ベッド当たりの死亡数は70%増し、平均在院日数も50日から32日に36%も短縮させている。

今後20年間で平均在院日数が24日に短縮するという厚労省の推計を信用すれば、病院死亡数を過去20年と同じだけ、すなわち34万人さらに増やすことは十分可能だ。

それを見込んで民間中小病院が高齢者救急に生き残りをかけようとする傾向も現れている。

在宅医療の充実はそれほど期待できないので、自宅死亡は増えない。サ高住建設が国策のようになっているが、同様にそこも死亡場所にはなりにくい(◆サ高住に入っても死亡場所は病院ということ)。また高額なので都市部の厚生年金受給者以外には市場はないとみるべきだ。

サ高住よりも老人ホームと老人保健施設が、病院死亡増加でもなお不足する死亡の受け入れ場所になる可能性が高い。というのは2000年から2011年にかけて両者での死亡割合は2.4から5.5%へと倍以上に増えているからだ。(◆10年で倍増となる20年では4倍、絶対数では約6万から25万になる。したがって病院(34万人)+老人ホーム+老健(20万人)で50万の死亡増を十分引き受けられるということになる)

◆結局、中小病院が高齢者の急変を救急車で引き受けて看取るというのが、引き続き死亡への経路の主流になる。中小病院としては、高齢者救急の技術向上と看取りのスキル向上に努力を注ぐ必要がある。

それはしかし綺麗事ではすまない。ターミナルケアにおける医療倫理の難題が毎日毎日、病院医師、看護師に降り注ぎ、耐えられない日常がすでに約束されているようなものである。

死亡場所において病院優位が変わらないとしても、高齢者の居住の改善はそれとは独立して重要である。死亡場所との関連から言えば、サ高住に力を入れるとそれ以上に老人ホーム、老健の居住環境・医療環境の改善を図らねばならない。

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