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2012年12月24日 (月)

小熊英二のインタビュー(12月22日朝日新聞)を24日日直中に読む

21日夜間当直、22日医療生協理事会、23日東京日帰り出張、、24日昼間の日直と仕事ばかりしているので新聞も読めない。
12月22日朝日新聞の小熊英二のインタビューを、今日、診察の合間に読んだ。
最近は出張中もずっとアマルティア・センの本が離せないでいるのだが、そのセンにも「民主主義とは投票制度や形式的平等でなく、誰もが政治的決定に参加できることだ」という彼の主張が正しく紹介されているので好感が持てる。
「世界中で代表制か直接制かという対立が台頭している」という小熊の観察は今回の総選挙結果と民意の矛盾を、小選挙区制という表層を超えた所で説明する材料になりそうである。
今後は、選挙による支持政党の議席拡大運動のみを民主主義の手段と考えず、政府側が開く公聴会、意見募集(パブリックコメント)、集会、デモなど可能な限りの回路を通じて政府に直接働き掛けて行く運動の比重が高まると考えた方がよい。
これは民医連が常々やってきたことなので、民医連の中では自然に受け入れられることだろう。
*政治に直接影響を与えようとするとき、これまでは政党化するしか道が無いように見え、民医連としては共産党を包摂しながら福祉国家をめざす新たな政治団体を自ら構想しなくてはならないのではないかという試行錯誤的な議論も僕の周囲にないではなかったのだが、政治参加の比重が選挙から上記のような直接行動に移っていくのなら、そんな非現実的なことは考えないで済むと言うのも、思考の経済上有益である。
これに関連して、先日は木下ちがやさんの発言を読み違えた
彼は、戦後民主主義と高度経済成長の中で中下層中産階級がその利益のためにさまざまの中間団体を作った、しかし、その関係が小泉構造改革によって解体を始め、緩んだのが現代の特徴だとする。それは中間団体のなかでも生活援助(包摂)の代償に集票を要求する地域自治会、労働組合、共産党、創価学会の姿に現れているとしているのである。

それを僕は中間団体=労働者階級中層、中下層中産階級=労働者階級下層と読み違えたのですれ違うのは当然である。労働者階級の中層と下層の深い分断そのものは観察として間違ってはいないし、克服する課題としては重要だが、観察自体は凡庸なものである。

そこで、その中間団体の一つ、創価学会のことだが、雑誌「世界」2013年1月号に面白い記事があった。もともと謙抑的に参議院にのみ議員を送っていた創価学会が衆議院に進出したのは池田大作氏の強烈な野望によるのだったが、その池田大作氏の衰弱が進めば衆議院からは撤退するだろうというものである。

いま、僕の属する医療生協では、高齢者の孤立死が多発する場所として老朽公営集合住宅に注目し支援を準備しようということになりつつある。その際に老朽公営集合住宅の住民の中で相当数を占める創価学会が過度に政治的なことが不都合なのだが、その傾向が薄まって協力しやすくなるというのは歓迎されるべきことだと思って読んだ。

住民の互助的な生活援助装置としての中間団体の解体は住民生活の犠牲を生みもするが、集票マシンとしてのしがらみも解体し、新しい互助形成、新しい民意形成の中間団体を生む契機となるなら総体としては前進的な要素なのだろう。

なお、共産党全体を中間団体と位置付けるのは無理がある。共産党を機関部分と地域職域の支部単位の二つに分けて、後者を包摂型中間団体と解釈するのは正しいし、共産党にとっても今後の組織論を考える上で参考になることだろう。

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