« 僕のマイナーな革命組織論: 医療者と住民の同盟について | トップページ | 小熊英二のインタビュー(12月22日朝日新聞)を24日日直中に読む »

2012年12月22日 (土)

2012.12.22 医療生協理事会挨拶 

 今年最後の理事会となりましたが、年末年始だからと言って気を緩めることの難しい情勢です。

12月16日の総選挙の結果は、民主党の惨敗、自民党の地滑り的勝利という結果で終わりました。2009年の政権交代に託した国民の期待を裏切って自民党化した民主党に国民が「ノ―」を突き付けた結果が、当の自民党の政権に復帰したというのはまことに皮肉ですが、民意は自民党的な政治を再度きっぱりと否定したというのがこの選挙の本質的意味だと思いますので、なにもがっかりする事はないと思っています。

ただ早速、様々な逆流が起こっているのには注意が必要です。

原発の新設はしないと言う政府方針を見直すとしています。(資料1、2)

高校の授業料無償化には700万円の所得制限を課すとしています。(資料3)

政府は9月に国際人権A規約13条2項(b)(c)に定められた「無償教育の漸進的導入」への留保を撤回したばかりなのです。(資料4)

その直後に所得制限導入というのですから、国際規約などは平気で破ると宣言したことにほかなりません。

自民党が衆院選公約の付属文書に書き込んだ「尖閣への公務員常駐」は中国への特使派遣を先行させて当面見送りという報道がなされていますが、今朝(22日)、当直しながら眠い目でTVを見ていますと、自民党の小野寺五典元外務副大臣が「将来的には海上保安官が常駐する」とはっきり言っていました。やる気なのです。

こういう事態では改憲の危機は突然現実化します。つい先日起こった中国の飛行機の領空侵入等に対して自衛隊機がスクランブルをかけることでさえ引き金になりますし、まして常駐させた海上保安庁職員が小競り合いの銃撃戦で一人死亡するだけで、国内の世論は戦争に向かって沸騰するかもしれません。

「健康のひろば」20111月号に私は書いています。
「オバマ大統領の来日に合わせて大規模な日米合同軍事演習が計画されており、『尖閣諸島が中国軍に占領されたのを奪還する』ことを想定して、パラシュート部隊が降下して中国軍部隊を殲滅する訓練を行なう。そのとき尖閣諸島に見立てられるのが、ほかでもない私たちが海越しにいつも見ている日出生台だ。」

尖閣での戦闘はすでに入念に準備されていると思わなくてはなりません。それはおそらく大規模な戦争を目指したものでなく、日本の改憲世論誘導のためのものです。

そのとき、どういう弾圧がまさに私たちを狙って、地域の最も可能性豊かな組織としての私たちを狙って襲ってくるのかは十分予想して警戒しておかなければなりません。最近の公務員の選挙活動への最高裁の不当判決にその兆しは見えています。

こういうとき、なにより重要なのは、私たちの団結だろうと思います。

職員についていえば、正規職員部分は、非正規職員や請負の形式で働く労働者が自分の職場に大量に投入されていることに格別問題意識も持たず、日々を過ごしています。

一例をあげると、医療費自己負担も、大半の事業所では共済組織の存在で実質3割には遠い(それは公務員も同じでしょうが)ため、目の前にいる本当に3割の自己負担にあえいでいる患者と自分の格差には敏感になれないでいます。そして変革の行動を起こさないことが、自己の利害の上で有利になると思っているという現状があります。これをどう変えるかが一つの大きな問題です。

 

 また、レーニンが何度も言っていることで、次第に私の中で大きくなっているのは、労働者階級と農民階級の同盟の本質的重要さのことです。「労働者と農民同盟の継続は約束されたものではないので、二つの階級が離反する時は、両者とも没落する」とレーニンは考えていました。
 

 私たちにとって、この労働者階級と農民の同盟に相当するものが事業所職員と共同組織構成員の関係です。社会的な立場の違うこの両者の同盟こそ医療生協を医療生協たらしめている物質的基礎で、両者が離反すれば、私たちは弾圧の中では没落するのみです。絶対に両者が対立して違う道を行くことが無いようにしないと成りません。

参議院選挙で自民党を抑え込めれば若干状況は緩和されるとは思いますが、たとえそうであっても、しばらく厳しい反動的な情勢が続く見込みですので、私たちはよほど心を引き締めてかからねばならないと思います。経営的にも運動的にも細心注意を払って、些細な失敗もしないということがこれまでより一層強く求められていると考えます。

様々に分断された職員、組合員を、今一度医療生協と言う統一戦線に招き入れて行く必死の努力を通じてこの情勢を乗り切っていかなければならないならないと思いますので理事の皆様にも思い切った奮闘をお願いする次第です
 

すこし暗い話ばかりしすぎましたが、最後に面白い話題を提供したいと思います。資料4は、石原伸晃、山本太郎、共産党が闘った東京都杉並の若い共産党区議会議員原田あきらさんのブログの記事です。得票は山本太郎71千、共産党2万2千、これに民主党を合わせれば石原に勝ったかもしれない選挙で、地元の共産党がどういうすごい議論をしたかが闊達に書かれています。こういう面白い苦労を重ねて行くうちに、民意と議会が結びつく状況が生まれてくることに私としては期待を持ったものです。

では、議長は恒例によりS常務理事にお願いします。

|

« 僕のマイナーな革命組織論: 医療者と住民の同盟について | トップページ | 小熊英二のインタビュー(12月22日朝日新聞)を24日日直中に読む »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 2012.12.22 医療生協理事会挨拶 :

« 僕のマイナーな革命組織論: 医療者と住民の同盟について | トップページ | 小熊英二のインタビュー(12月22日朝日新聞)を24日日直中に読む »