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2012年12月12日 (水)

マイケル・マーモットさんのこととマーモット・レビュー2010の六つの目標

マイケル・マーモットさんは2010年にイギリスの医師会長も務めて、サーの称号も持つ、偉大な公衆衛生学者、社会疫学者だが、生粋の上流イギリス人というわけではなく、祖父は東ヨーロッパのユダヤ人(アシュケナージ)で、マーモットさんの父親たちを連れて無一文でロンドンに移民してきた人だし、父親はイギリスで暮らすことができず、マーモットさんが4歳の時オーストラリアに移住した人だ。

マーモットという名前自体、そのものずばりモルモットのことだからイギリス人の中ではそれほど芳しい名前ではないのではないだろうか。「鼠」さんという名字が日本にもないわけではないかもしれないが。

マーモットさんの両親は無学歴の人だったが、懸命に働いてマーモットさんをシドニー大学医学部に進学させた。マーモットさんはシドニー大学関連病院の研修医だった時、近くにあるイタリア人やギリシャ人集落(コロニー)の健康がひどく悪いことに気付いて、あたかも民医連の疾病観に似た「生活と労働が健康に与える影響」を知ることを自分の一生の仕事にしたが、そういう選択の背景には差別と排除を受けてきた彼の家族の歴史があるのだと思う。

そんなことを考えながら、‎この12月8日に熊本民医連の医師団会議で健康権について話をさせてもらったが、結局言いたかったのは、マーモット意見書2010年の結論である次の六つの政策が健康づくりにとって本質的かつ最重要ということだった。

①幸福な乳幼児時代をどの子にも保障する
②教育を無料にして少年の可能性を保障する
(以下は体言止めだが)
③安定雇用と人間らしい労働
④健康的な生活水準(これが日本の生存権に相当)
⑤良質な住宅と環境
⑥上記のために働く強力な保健スタッフの養成

・・・・HPH活動もこの線で課題を探せばいいわけである。


実践団体である私たち民医連は、当面これを仮説として採用して、その実現に挑戦して、その実践過程でこれらの前提とされているSDH(健康の社会的決定諸要因)の存在を経験的に確認すればいいのではないか。それも非科学的なことではあるまい、と思う。

「日本におけるSDHは何か」というテーマは、健康権の根拠を精緻化するうえでは重要だが、結局ヒマな研究者の仕事だし、その完成を待って日本での運動を始めるわけにはいかないという気がする

こんなことをつい書いてしまうのも、今朝はなぜか、自分の組織の中で、一見もっともらしく上から目線でものを言う人々へのいらだちが隠せないからである。

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