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2012年11月19日 (月)

佛教大学 岡崎祐司氏の地域包括ケア講演を保団連の地域医療部会で聞いた;「必要なのは、(所得の)ナショナルミニマムでなく、(QOLの)ケアミニマムだ」

2012年11月18日、保団連の地域医療活動交流集会に参加。

会場は、かって全日本民医連がその5階を借りていた新宿の農協会館。このあたりは再開発が進まず、ビルも幽霊屋敷に近くなっている。

参加者100人はいない小集会だが、大半が医科、歯科の開業医なので、医師参加率が高い。民医連とも、医師会とも違う雰囲気。

だが、基調報告しているのは、山形民医連の勤務医・中島幸裕医師。保団連の医活部長の方が彼の本骨頂なのだ。

このあと、佛教大学 岡崎祐司氏の地域包括ケアに関する記念講演があった。

その内容を僕流の言い換えで順不同で拾っておく。

医療保険と介護保険の根本的な違いは、現物給付か、現金給付かの違いである。

現金給付は、ケアサービスを必然的に断片化し、総合性を失わせる。

両者の違いは、義務教育を授業の聴講券を金券として配ってやって行く場合を仮定して見るとよくわかる。

しかし、そうはいっても介護保険は「半市場化」で終わった。

介護保険は要介護認定を用いて中央集権的要素が強い。

介護ニーズ全体に対して部分的保障にすぎないことをことを2006年改定でより明確化した。これも医療保険との違いを際立たせた。

2012年改定は、医療保険の代行をする質の低い療養保険化(介護職の医療行為導入)を図った。

これで医療保険が介護保険と同じ部分保障となる準備ができた。

② 2012年高齢者居住確保法改定で、老人住宅はサ高住に一本化。

これが地域包括ケアの中心。
サ高住の基本サービスは9時から17時の安否確認と生活相談のみ。
これが何を意味するかというと午前9時に死亡確認のためにドアを開けるのが安否確認ということだ。
必要なサービスは原則的に外からの供給(外付け)。
同一建物の併設事業者からのディーサービスの提供は大規模住宅であれば1割減算するというのは、営利的囲い込みという批判へのみせかけ的配慮。
実際には24時間短時間巡回型のピンポイントサービス推進、それは減算なし、がサ高住誘導策。
結局、サ高住は、劣悪な老人病院・施設の代用物。
ただ、良心的な運営も不可能ではないというのが一つの鍵。
それには、在宅療養支援診療所・病院がどう関わるかにかかるかが決定的。地域包括ケアの中の医療が、地域包括ケアがどちらに行くかを決めるということ。
もう一つは自治体の責任明確化が無いといけない。
住民どうしの互助が過剰に強調されているが、強力な互助振興策はない。
合併前の村が住民にホームヘルパー研修を無料で受けさせたなどの自己犠牲的先進事例の紹介だけは熱心。
絵に描かれているのは、都市型の「システムなきネットワーク」だ。結局は自助のみ残る。家族支援策が欠如しているので、非都市部は確実に地域包括ケアでは介護切り捨てになる。
これに対抗して「普遍的なシステムにしていくためには、自治体と専門職の責任と機能が必要。孤」独死、援助拒否者にアグレッシブにアプローチする、つまりアウトリーチをかける責任を明確にしなければならない。
医療に「依存」しない在宅ケアが構想が厚生労働省の地域包括ケア。30分以内に受けられる医療とは、急性期大病院へのアクセスだけではないか。それも実は無理。
いずれにしても、在宅、居宅療養の高齢者の医療ニーズは踏みにじられている。
今後の展望:
ⅰ)民間や家族に介護をまる投げするのでなく、自治体の地域包括ケアに対する責任を強化すべきだ。
ⅱ)老人施設の底力は発展させるべきだ。
ⅲ)同時にサ高住を協同の力で作る。
ⅳ)その中で医療が切り捨てられるのでなく、主体的に力を発揮しなければならない
◎必要なのは、ナショナルミニマムでなく、ケアミニマムだ。
そこで私の気づきだが
歴史や学問的なものでなく、日本の現状からいえば 『所得のナショナルミニマム』が、生存権に相当し、より広く所得保障も含んだ「ケアのナショナルミニマム』が健康権に相当すると言えるだろう。
*若干、細かい検討を試みれば医療は全体としてケアミニマムを構成する健康権の課題だが、国保料未納による受療権侵害は所得保障に関わる生存権の問題ということになる

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