« スベトラーナ・アレクシエービッチ「チェルノブイリの祈り」岩波書店1998・・日本はいまや最大のスターリン主義国家なのだ・ | トップページ | 日本のマーモット・レビューは民医連の医師集団が作らないといけない »

2012年10月23日 (火)

大槻久美子「働く女性のメンタルヘルス」かもがわ出版2010を読みながら・・・同僚のヘルプを引き出すのもSBARで

僕は長く水産物加工工場の産業医をしている。

今回柄でもなく、自分としては初めてメンタルヘルスを主題に従業員講話をすることになったので参考書として上記の本を読んでみた。

工場の職員の大半がパートの女性なのでこの本を選んだのである。

いくつかすぐに役立つ記事があった。

○同僚のサポート(ヘルプ)の上手な引き出し方。

結局、医療安全と同じでSBARなのだ。

S状況、B背景、A自分の解釈、Rお願いしたいこと

を順序だって話すと、気持ちよくヘルプしてもらえるということ。

○自己愛性人格障害者が引き起こすモラル・ハラスメントで
職場が崩壊することの指摘は多くの人の悩みの原因になっているのではないかと、特に強く印象に残った。

そこで ウイキペディアその他からの引用を組み合わせたものに過ぎないが、若干のメモを残しておくことにした。

*自己愛性人格障害とは以下のようなものである。

内的には不安定であるにもかかわらず、誇大的な自己像や積極的な自己顕示が強く、傲慢な態度をとる。
 
自分は他人より優れた能力を持っているとか、自分は特別だと思い込んでいる。うぬぼれが強い。
その背後で、常に深刻な不安定感や頼りなさを経験し、本質的には他者依存的である。

自尊心を維持するために、絶えず周囲からの称賛・好意・特別扱いを得ようとする。

自分に向けられた非難や批判に対し、怒りや憎しみを持つ。
否定をされるとそれを受け入れられずに嘘や詭弁で逃げようとする。
そのため失敗について本当に反省したり、そのときのつらさや痛みを認識する能力に欠けている。

失敗・批判から新しく何かを学ぶことができない。
他者と関係を持つにしても、それは自分の自尊心を支えるために人を利用している傾向がある。

本当の意味で他者に共感したり、思いやりを持ったり、感謝したりすることができない場合が多い。

言語的表現力がしばしばあるので、うわべだけの思いやりを示すことに長けている。

*モラル・ハラスメントとは以下のようなものである。

言葉や態度等によって行われる精神的な暴力。
見えづらいため長い間潜在的な物として存在していたが、
フランスの精神科医イルゴイエンヌの提唱により知られるようになった。

◇加害者となる人物には特徴が存在する。

モラルハラスメントの加害者は、自分の勝ちか負けかをいつも考えている。
勝つことに強迫的にこだわり、まわりの人間には敵か味方かのどちらかしか
いないというような極端な考え方をする。
対人関係を力関係でしか捉えることができない加害者は、
その相手との力関係によって態度を変える。

味方にしておきたい人が自分より上か同等の力をもつと思っている場合、
親密さを相手にもまわりにもアピールする。
しかし、相手が下だと思うと抑圧し、いいように使う。

加害者は、ほんの少しの批判や拒絶を、自分に対する反抗や敵意の表れだと受け取る。

加害者は、どんな方法をとってでも、虐待の事実や権力の濫用を正当化し、
合理化する。
合理化の言葉は冷たく、固い感じで自信を持って言い放たれるので
多くの人が「おかしい」と感じていても、反論されにくい。
その基本的な考え方は、自分は絶対に正しいという思い込みであり、
したがって相手に問題があるということになる。

加害者自身、自分がしていることが暴力であり、虐待であるとは思ってもいない。

今までに対等な関係の経験がなく、今も安心して本音を語る場所を
持っていないであろう加害者にとっては、そのように自分の加害行為に
無自覚でいないと、生きてはいけないのかもしれない。

◇一方被害者は、加害者の影を感じると緊張してしまい、自分の考えや思いが正直に話せない。
暴力を受ける恐怖におびえ、暴力が自分の身に降りかかってきたことを
悲しみ、いつまでも加害者につかまえられている感覚は拭えず、
暗闇の中にいるようである。
自分の言動が、いつどんな理由で問題にされるのか予想がつかないため、
絶えず警戒し、緊張している。

いったん自分の言動が問題にされたら、それを理由に半永久的な暴力が
続くため、加害者の言動に対して何か違和感があったとしても、尋ねてみることもできない。
言うとしたら、緊張感の中で一大決心をし、小さく遠慮がちに言ってみるだけになる。

被害者は、情緒的な安定のない状況に置かれていく。


|

« スベトラーナ・アレクシエービッチ「チェルノブイリの祈り」岩波書店1998・・日本はいまや最大のスターリン主義国家なのだ・ | トップページ | 日本のマーモット・レビューは民医連の医師集団が作らないといけない »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 大槻久美子「働く女性のメンタルヘルス」かもがわ出版2010を読みながら・・・同僚のヘルプを引き出すのもSBARで:

« スベトラーナ・アレクシエービッチ「チェルノブイリの祈り」岩波書店1998・・日本はいまや最大のスターリン主義国家なのだ・ | トップページ | 日本のマーモット・レビューは民医連の医師集団が作らないといけない »